学部長選考の不透明な過程に批判の声が上がっている鹿児島大学で、大学院(消化器内科)の教授選に不正があったとして再選挙を行いながら、井戸章雄学長が当選者の任命を拒んでいる疑いがあること分かった。学内の関係者によれば、二度の教授選で選ばれたのは九大出身の同じ人物。人事の公平性に疑問符が付く異常事態だ。
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1回目の教授選が行われたのは2023年12月。教授から副学長になった井戸氏の後任を選ぶための選挙に、鹿大の准教授を含む3人の医学者が立候補。選考の結果、教授会は九大出身の人物を次期教授に選んでいた。
しかし、佐野輝学長(当時)は選任手続きを行わず、関係者から疑問の声が上がる事態に――。取材に答えた内部告発者らは、有力とみられていた鹿大の医師が選ばれなかったという結果を不服とする井戸副学長サイドが教授会の決定に異を唱え、学長が教授選考のやり直しを命じたと話していた。(*既報)
再選挙は今年になって実施され、再び前回と同じ九大出身の人物が選ばれる事態に。しかし、今度は副学長から学長に就任した井戸氏が当選者の任命を保留。現在も任命を拒んでいるという。
取材を進めていたハンターは先月、井戸学長宛に質問書を送付。以下の質問に対する回答を求めていた。
・貴学では2023年に鹿児島大学大学院消化器内科の教授選挙を実施されましたが、選挙に不正が認められたとして当選した人物の選任が行われなかったと聞いております。これは事実ですか?
・貴学は今年になって再度消化器内科の教授選挙を実施されましたが、その結果、前回の教授選挙で当選した人物が再び選ばれたにもかかわらず、貴殿は当該人物を教授に任命していないと聞いております。これは事実ですか。事実であるなら、その理由もお示し下さい。
これに対し、鹿児島大学の広報・渉外室から返送されてきた回答を下に示す。

やり直しを含め2度の教授選で当選した人物を任命していないことが事実でなければ、迷わず「事実ではない」として済む話だ。それが、いずれの質問にも「回答できない」。事実関係を認めたも同然だろう。
ある医学部関係者は「何のために2度も教授選をやったのか分からない。選ばれたのが意中の人物ではなかったから任命しないのだろう。恣意的な人事権行使が許される大学の現状は、決して正常とは言えない」と話す。別の関係者も「外部に漏れないと思っているのだろうが、結果を無視されるのなら選挙の意味がない。来年3度目の教授選をやるという話まである。これは権力の濫用だ」と憤る。
昨年の学長選挙に医学部教授選、そして今回再度実施された医学部教授選。いずれも学内の選考・選挙結果が無視されるという驚くべき事態だ。そのすべてに関わっているのが井戸学長であることも確か。鹿児島の最高学府に「人事の闇」が広がっている。















