江差パワハラ、5月下旬に現地調査|議会報告では全会派から批判噴出

北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で11日午後、道の担当部局がこれまでの対応と今後の取り組みについて議会報告した。在学・退学生を対象に再調査を実施する方針や、同調査の結果を今月発足する第三者委員会の調査資料とする考えなどが示された一方、議員との質疑応答では今日に到る対応の不備が再三にわたって指摘され、ハラスメントに対する認識の甘さが浮き彫りとなった。

報告があったのは、同日招集の道議会保健福祉委員会(下の写真)。江差のパワハラが議題となるのはこの日が初めてとあり、質疑応答では5人の委員が質問に臨み、担当部局は保守・革新を問わず道議会5会派のすべてから厳しい追及を受ける形となった。

退学者の多いことを問題とした自民の村田光成委員は「これは学院として機能していないということでは」と疑問を呈し、パワハラの事実確認が進まないことを深刻視する民主の武田浩光委員は「調査が長引けば長引くほど隠蔽が容易になる」と指摘、また最終的な救済策を「6月以降」とする報告に公明の志賀谷隆委員は「できるだけ早く学生さんに不安を抱かせない環境づくりを」と註文をつけた。

傍聴人らが思わずかぶりを振ったのは、共産の宮川潤委員の質問への答弁。同委員は、昨年9月の告発に対応した職員が誰だったのかを尋ね、併せて事後の追跡調査の有無を質した。道はこの問いに、それぞれ「9月に対応したのは(パワハラ当事者の)副学院長」「追跡調査はしていない」と答え、そもそも初動が大きく誤っていた事実を露呈する結果に。同委員による「現時点でパワハラがあったことを認めるのか」との質問には「認定は第三者調査の結果を待ってからにしたい」と逃げを打った。さらには、現時点でパワハラを疑われている教員6人について「全員が今も同じ教務室で執務にあたっている」と明かし、ハラスメントの当事者たちが“口裏合わせ”の容易な環境で勤務している事実を認めることとなった。

道はこの日までに、休学者を含む在学生と過去5年間の退学生を対象に改めて被害調査を実施する方針を固め、今月23日を回答期限とする調査票を関係者に交付し始めた。第三者委の調査はこの結果を受けて行なうことになり、予定される現地調査は早くとも5月下旬の実施になりそうだ。

道議会に足を運んで同日の委員会を傍聴した在学生(19)は「道庁の人が『できるだけ早く』とか同じことしか言っていないので、途中から聴く気をなくした」と歎息、一緒に傍聴した別の学生(21)も「あまりに同じ答弁の繰り返しで眠くなった」と失望感をあらわにした。同じく傍聴席から議論を見守った在学生の保護者(54)は「未だにハラスメントを認めていないとは」と呆れつつ、次のように指摘している。
「道の言う第三者調査には、とても期待できません。『第三者』と言ったって、メンバーを選ぶのは道庁。本当に公平に、客観的に調査するつもりなら、人選の段階から『父母の会』と一緒に進めていくべきです。道が推薦する委員と被害者が推薦する委員、両方で構成する委員会をつくらなければ意味がありません」

懸念される第三者委の顔ぶれは、同日時点でなお明かされていない。

※ 新たなハラスメント調査票は、道医務薬務課のサイトからダウンロード可能
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/iyk/soukatsu/newindex/knggroup.htm

(小笠原淳)

(※ 江差高等看護学院パワハラ問題のレポートを、現在発売中の月刊「北方ジャーナル」5月号に掲載しています。)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイトhttps://esashi-seijo.main.jp/

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