つい先日、ある件で福岡県田川地区消防組合(管理者:永原譲二大任町長)に情報公開請求を行った。内容は近々報じる予定だが、同じ案件の関連文書を請求した二つの自治体は、処分決定期間内に開示を実施。しかし、消防組合だけが30日間延長するということを電話連絡してきた。
延長に異を唱えるつもりはなかったが、「延長通知」の取り扱いについて担当職員が発した言葉に耳を疑った。「延長通知を取りに来て下さい」――。“何とおっしゃいました?”と聞き直したのは言うまでもない。
■延長通知「取りに来い」
同組合が制定している「福岡県田川地区消防組合情報公開条例」は、開示決定期間の延長について、次のように規定している。
実施機関は、やむを得ない理由により、第1項に規定する期間内に同項の決定をすることができないときは、同項の期間をその満了する日の翌日から起算して 30 日以内を限度として延長することができる。この場合において実施機関は、速やかに開示請求者に対し、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知するものとする。

《速やかに》《書面により通知》がルールだ。請求者に通知を取りに来させるような規定はない。あたり前である。延長は行政機関側の都合によるもので、請求者には責任がないからだ。記者は福岡市在住で、そのことは情報公開請求書に記してある。分かっていて平然と「取りに来い」というのだから、お役所仕事特有の傲慢さという他ない。容認できない。
“請求者が東京などの遠方の場合はどうするのか”と聞いたところ、担当職員は「返信用の封筒を送ってもらいます」と言う。これもおかしな話である。開示決定期間延長には何の責任もない請求者が、開示実施時にかかる手数料以外のカネを払う必要などあるまい。“延長は組合の都合だ。なぜ請求者が余計なカネを払わなければならないのか!”と詰めた記者に対し、返ってきたのは「予算がない」という想定外の回答だった。
あり得ない言い訳だろう。延長通知はA4用紙1枚。説明文書を入れたにしても切手代は110円で済む。消防組合は行政機関であり、110円の予算がないという主張には説得力がない。これまでに、予算が足りなくなるほど何件もの開示請求があったとも思えない。念のため、後日、同組合に年度ごとの請求件数を確認した。下に結果を示す。
・2017~18年度:0件
・19年度:2件
・20年度:4件
・21年度:7件
・22年度:7件
・23年度:1件
・24年度:5件
・25年度:6件
封書の切手代が110円になったのは昨年10月1日から。それ以前は25g以内で84円だった。一番請求が多かった年にすべて延長したとしても7件×84円で588円に過ぎない。開示実施にともない手数料は請求者が支払うためその分の組合負担はないのだから、開示決定期間延長の通知文書を郵送するのに「予算がない」という説明は虚偽の疑いさえある。あるいは、面倒なので適当なことを言ってごまかそうと考えた可能性さえある。
最初の連絡時、“予算がないということでいいか?開示決定期限を延長するにあたって、請求者に負担を求めるというルールを明文化しているのか?”と再確認すると、対応した職員は「これまですべてそうしてきた」と説明が変わった。明文化はされていないということだ。《予算がない》は、さすがにマズいと考えたのだろうが、いったん口に出した説明が消えるわけではあるまい。「予算」を引っ込めたあとは、最後まで「これまですべてそうしてきた」だった。
押し問答しても時間の無駄。当方としては、延長の理由を把握しておきたい。やむなくFAXでの対応を求めたところ、送られてきたのが下の「情報開示決定機関延長通知書」である。

FAXを所有している請求者ならいったん延長通知を送信してもらい、後日原本を受け取るということが可能だ。しかし、FAXがない遠方の請求者は、返信用封筒に切手を貼って組合に送るしか延長通知を受け取るすべがない。その結果、「開示決定期間を延長する」という執行機関(今回の場合は田川地区消防組合)の都合のせいで、不必要な負担を強いられるわけだ。どう考えても理不尽な話である。組合管理者には、きちんとしたルールの徹底を要望しておきたい。
ところで、組合側は期間延長の理由を《開示決定等の精査に期間を要し、開示・不開示等の決定をすることが困難なため》としている。しかし、ハンターが取材対象にしている件に関係する二つの自治体は、それぞれが定めた情報公開条例の規定通りに期間内の開示決定を行っており、消防組合が保有する文書が精査に時間がかかるほどほど大量にあるとは思えない。いずれ開示されるはずの文書を見ての判断も必要だが、延長のことといい、延長通知の取り扱いといい、褒められた対応とは言い難い。これまでの経験から言えば、こうしたケースでは、えてして“都合の悪い事実”が存在しがち。実は、この問題の裏に見え隠れしているのは、組合を利用した永原町政の「利権」。組合の文書開示を待つまでもなく、次の配信記事で詳細を報じる予定だ。
(中願寺純則)















