合流新党結党で注目される九州選出議員たちの動き

8月19日、国民民主党が両院総議員総会を開催し、立憲民主党と合流し、新党を結成する方針を決定した。だが、玉木雄一郎代表は合流新党の綱領に「改革中道」という方向性がないこと、「原発ゼロ」という文言があることなどを理由に参加を否定。新たに別の新党を結成する意向を示している。合流新党か、玉木新党か――。九州を地盤とする野党議員の動きを取材した。

■孤立した玉木氏

国民民主党所属議員62人の中で玉木氏の新党に加わるのは、前原誠司元外相、山尾志桜里衆院議員、古川元久元国家戦略担当相ら数名に止まるものとみられており、政界での玉木氏野の存在感は薄れつつある。ある国民民主党関係者は、こう解説する。
「玉木氏は、行動を共にする議員を15人から20人と想定していた。思惑が外れたのは確かだろう。民主党政権時代は、閣僚経験もあり民進党の代表でもあった前原氏だけに、玉木氏は前原人脈で20人近い参加者を想定していた。ところが、前原氏は完全に一人旅。両院議員総会を前に、前原氏が玉木氏の新党にも加わらず、第3のグループを結成して日本維新の会と連携するのではないかという情報さえ流れていた。玉木氏も前原氏も、終わった人ということだ」

もともと、立憲民主党と国民民主党の合流新党にウラで動いていたのは、立憲民主党側は中村喜四郎衆院議員、国民民主党側は小沢一郎衆院議員という重鎮だった。玉木氏は、重鎮二人を怒らせたという。
「玉木氏が合流に渋り、ハードルを何度もあげるので、小沢氏が『党名を投票で決めるなら合流するんだな』と詰めた。それを玉木は明確に了承している。ところが、一転、自分は合流しないで分党などという。小沢氏の顔に泥を塗ったことで、ますます信頼を失った。中村先生も、そんな玉木を冷ややかに見ていたはずですよ」(前出・国民民主党の幹部)

■前原側近も合流新党入り

福岡県では、城井崇衆院議員(九州比例)が前原氏の元秘書。稲富修二衆院議員(同)は松下政経塾時代から「前原派」と呼ばれるほどの関係だったが、両人ともいったん前原氏と袂を分かつ見通しだ。

「どちらも、前原氏さんの子飼いのような議員ですが、今度は別行動をとるようです。玉木新党には行かない。前原さんが維新と組んでも、加わることはない。前原さんは、東京都の小池百合子都知事が国政復帰した時には、再度一緒にやれないかと模索していららしいですが、どうやらそれはない。城井も稲富さんも、合流新党に行くはずですよ」(国民民主党の幹部)

たしかに、城井氏は22日、合流新党に参加する方針を正式表明、早々と方向性を打ち出した。一方、稲富氏は合流新党に行くせよ、慎重に動かざるを得ない。

稲富氏が地盤とする福岡2区で国民民主に所属している県会議員は3名。中央、城南、南の3区にそれぞれ一人ずつだが、城南区の県議は九電労組の、南区の県議はUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)の組織内候補だ。UAゼンセンは南区で市議も抱えている。九電労の上部団体は原発推進の電力総連で、合流新党不支持。右寄りのUAゼンセンも、憲法観が違う合流新党とは距離があり、不支持に傾く可能性がある。稲富氏としては、簡単に答えを出せる状況ではない。

共産党が候補者擁立を見送り、野党側の候補者が稲富氏一人になれば、「稲富党」といわれる支持者に支えられる稲富氏は強い。しかし、政見放送に出られないなど無所属での戦いはあらゆる面でハンデが大きいため、いずれかの政党に所属せざるを得ない。

長崎1区の西岡秀子衆院議員は、態度を保留したひとりだ。玉木氏につく可能性もあるというが、玉木新党の未来は暗い。
「合流新党は150人前後になるでしょう。野党の多くが比例復活で当選した議員ばかり。国民民主党の金庫にある約50億円のカネも、議員数に応じて2つの新党に配分されることになるため、玉木氏の新党に行ってしまうとカネもなく、比例復活は極めて困難ということになる。次の衆院選を考えると、合流新党しかない。玉木新党に名乗りを上げているのは、前原氏や古川氏など小選挙区で自力当選できそうな人たちだけ。あとは、昨年夏の参院選で勝ってしばらく選挙がない議員ばかりでしょう。求心力がない」

大分1区を地盤とする吉良州司衆院議員(九州比例)も、態度が定まらない。当初、合流新党不参加を明言していたが、ここに来て状況が変わってきたとされ、一転して合流新党に参加する可能性が出ている。

遅かれ早かれ来年秋までには総選挙が実施される。政治家としての生き死にがかかる衆院議員たちが求めるのは、当選できる環境だ。合流新党がそれに答えられる組織になるのかどうか、注目である。

ちなみに、合流新党には、現在無所属で活動する野田佳彦元首相と岡田克也元副総理のグループも加わる見込みで、150人規模の新党ができるのは確実。もっと盛り上がっていいはずだが、永田町のもっかの関心事は、17日に次いで24日にも慶応病院に出向いた安倍首相の“病状”だ。
「野党が一つにまとまっても、元の民主党と変わらぬメンバー。怖くもないし、気にもならない。それより次の総理だよ」(自民党ベテラン議員)



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