麻生太郎副総理が代表を務める自民党の支部が、建設業法違反で逮捕された会社社長から個人献金を受け取っていたことが明らかとなった。
逮捕された社長が代表を務める別の会社の役員は、災害復旧に絡んだ贈収賄事件で立件されており、一連の事件の背景に指定暴力団の影を指摘する声が上がる状況。問題の社長が、原口剣生自民党福岡県連会長を支援してきたことも分かっており、県連幹部と反社勢力との結びつきに注目が集まる展開となりそうだ。
■逮捕された会社社長が10万円を献金
麻生氏が代表を務める「自由民主党福岡県第八選挙区支部」に献金していたのは、久留米市に本社を置く建設会社「メンテック」の実質経営者・尾関正敏氏。尾関氏は今年7月、県の出先である久留米県土整備事務所に虚偽の貸借対照表を提出したとして建設業法違反の疑いで逮捕され、罰金刑を受けている。
自由民主党福岡県第八選挙区支部が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、尾関氏は2017(平成29年)年10月に、個人で10万円を同支部に献金していた。
同氏は、昨年6月に朝倉市の復旧事業にからんだ贈収賄事件で役員が立件された土木業「九州防水」の代表者。同社のグループ企業が立件された一連の事件は、暴力団捜査の過程で浮かび上がったものとみられており、今後の展開に注目が集まる状況となっている。
尾関氏絡みの事件に注目が集まるのは、同氏が多くの自民党議員と親密な仲にあるからだ。
■注目される麻生系議員との関係
もっとも近いとされるのが、自民党県連会長の原口剣生県議会議員。県議選では尾関氏が“選対本部長”として選挙事務所を仕切っており、県連会長を「原口君」と呼ぶ同氏の驕慢な姿勢には、多くの関係者が顔をしかめるほどだったという。
もちろん、カネの繋がりもある。原口県連会長が代表を務める政党支部「自由民主党福岡県久留米市第二支部」が県選管に提出した2017(平成29年)年分の政治資金収支報告書によれば、尾関氏の九州防水が同年10月、60万円を同支部に献金していたことが分かっている(*下の収支報告書参照)。
九州防水グループの社内報に頻繁に登場するのは、原口県議や自民党麻生派の参院議員。尾関氏から麻生氏の自民支部への献金が明らかとなったことで、県内の麻生系議員がそろって九州防水=尾関氏の世話になっていた形となる。