八女市公園整備事業で深まる疑惑|福岡県「計画ない」は真っ赤なウソ

八女市(三田村統之市長)が市内で計画を進める公園整備事業に関する公文書を「不存在」と偽って隠蔽しようとした問題を巡り、福岡県(小川洋知事)も同事業に連動する工事計画を隠そうとしていたことが分かった。

県が隠そうとしていたのは、八女市の公園整備に連動して行われる予定の河川敷の整備工事。当初ハンターが行った公園整備事業に関する情報公開請求に対して「公園を整備する計画自体がない」として、請求を取り下げるよう申し向け、県が関与していないように装っていた。

工事計画の存在を知ったハンターの記者が県側に何度も事実確認。県側は、「公園ではないが、河川敷に降りる階段を整備したりする予定がある」などと事実上の公園整備を行う予定であることを認めている。

■県も隠蔽

矢部川の河畔に計画されている公園整備に関する情報公開に及び腰となった八女市と福岡県。一体何を隠そうとしているのか分からないが、あるはずのものを「ない」と言って不存在通知を出したり、開示請求自体を「なかったこと」にしようとする姿勢は異常だ。

県は当初、「矢部川水辺公園(仮称)整備計画の内容及び経緯(スタート時点から今日まで)が分かる文書」を開示するよう求めたハンターの記者に対し、「八女市で公園を整備する計画はない」として、請求を取り下げるよう連絡してきた。その折、県の担当者は「八女市に公園整備の計画がある。市の方には連絡してある」と話していた。

県が情報公開請求を受けて対象文書を保有する自治体に連絡する、などという話は聞いたことがないが、開示請求が完結しなければ取材が先に進まない。やむなく、八女市に対し、公園整備事業の経緯が分かる文書と事業に利用される土地の関連資料を八女市に開示請求していた。その後のドタバタ劇は、これまで報じてきた通りだ。

取材を進めてみると、八女市が公園整備を行うのは矢部川の堤防横にある土地。河川敷側は県の管轄になるので八女市は手が出ない。しかし、どう考えても河川敷に降りて矢部川と触れ合う形にならなければ「矢部川水辺公園」とは言い難い。市側の担当者を問い詰める中で、「河川敷の方は県がある程度の整備をして……」という言葉を引き出した。

そこで再度県側に事実確認してみると、本件情報公開の窓口になっていた公園街路課から河川の担当課に回され、さらには八女県土整備事務所へと担当が転々。結果として、やはり関連文書は、あった。

県は八女市に公園整備計画があることを知っていた。分かった上で、開示請求そのものをなかったことにしようと企てた疑いが濃い。

■県側の嘘、証明する文書を入手

一連の県の対応は「隠蔽」と言っても過言ではなく、八女市による2度目の情報開示でその証拠を入手している。それが下の1枚。平成29年(2017年)4月6日に、八女県土整備事務所で行われた県と市の打合せ記録である。

文書の頭には『県事業矢部川親水公園と矢部川水辺公園(仮称)計画予定の打合せ』――タイトルがすべてを物語っている。県は、矢部川の河川敷に親水公園を造る計画を持っていたのだ。確かに「階段整備程度」と断ってはいるが、河川敷に降りる階段を整備すれば、そこに人が集まるようになるのは自明の理。公園とまではいかないまでも、県が矢部川に親しめる憩いの場所を作ろうとしていたことは確かだ。

しかも、県側はこの協議の中で「公園計画は、八女市のパースに合わせて計画したい」「八女市と歩調を合わせて、公園の基本設計なのか詳細設計なのか考えていく」と述べており、「公園を整備する計画はない」「八女市がやっていることで、県は関係ない」というハンターへの説明は、明白な虚偽と断ぜざるを得ない。

矢部川沿いの土地に公園を整備する事業の原資は、言うまでもなく税金。ならば、公園整備に関連する文書を隠そうとする八女市や県に、事業を進める資格はあるまい。

(以下、次稿)

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