「学費滞納で退学処分は違法」元留学生の訴え認める判決に「困惑」の声

学費滞納で変わるかもしれない日本語学校

日本語学校で学んでいた元留学生が自身の退学処分を違法だとして、学校を訴えた裁判の判決に学校関係者に動揺が広がっている。多くの日本語学校では「学費滞納」を退学処分の対象としており、今回の判決で今後の日本語学校運営に影響が出る可能性がある。

佐賀県鳥栖市の日本語学校から学費滞納などを理由に退学処分を受けたとして、元留学生でスリランカ国籍の男性が学校側に損害賠償を求めた訴訟で、原告側が勝訴した。佐賀地裁は「退学処分は裁量権を逸脱したもので違法」として原告の請求を一部認め、学校側に約78万円の支払いを命じた。

判決理由で、学校側が示した学費滞納などの処分理由の正当性が疑問視された。原告が次年度の学費を一部支払っていたのに退学処分を受けたと指摘。
原告は支払済の学費の対価として、授業を受ける権利がある上に、退学になれば在留資格が無くなり帰国せざる得ないのは大きな不利益だと原告の訴えが認められたかたちだ。

退学は妥当。それでも人道的な問題にはどう向き合うか

留学生を受け入れ、管理する立場にある学校側からすれば、穏やかな話ではない。
ある日本語学校関係者は次のように話す。「退学により強制帰国となるケースはよくあること。留学生が学校相手に裁判を起こすのは聞いたことがないが、今回の訴えが認められたら、留学生を管理するのは難しくなる。学費を納めた学生が授業には出て来ず、アルバイトばかりしている。そんな学生を辞めさせたくても辞めさせられなくなるのは学校側としては厳しい。無法地帯にならないためにも学則等で明文化し、入学時に誓約書を取るなどの対策はあったのか。不法就労については本人の落ち度を指摘しているので、退学処分は妥当だと思う。」

また別の関係者はこう語る。「日本語学校の内情をわかっていない。最近は人権派弁護士がメディアを通じて、『虐げられる無力な外国人と強制帰国させる日本語学校』のような構図を世間にアピールする。正直、外国人にだまされたことないでしょ?って思う。一生懸命信じて、指導して、話し合って、いろいろサポートしてきたのに、ある日突然部屋からいなくなるのが現実。それが2~ 3年に一回は起こる。失踪して不法滞在になれば日本語学校の責任。学費滞納、不法就労などの問題があれば、失踪する前に帰国させたい。どの学校も同じように考えていると思う。」

 

学校の内情はそれぞれだが、今回のケースでは、学校側は規定通り処分したと主張しているはずだ。根拠ないまま、退学させればそれこそ大問題となるからだ。その学校ごとに定められたルールが法的に認められるか問われる事例だ。学校側は留学生の処分に対し、慎重にならざるを得なくなる。

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