博多の台所「柳橋連合市場」に異変|年末商戦前に分裂の危機

前触れもなく突然現れた「公告書」に関係者の間で戸惑いが広がった――。「博多の台所」と呼ばれ、戦後から生鮮食品を中心に地元の食を支えてきた「柳橋連合市場」(福岡市中央区春吉1丁目)の運営を巡り、異変が起きている。

■顕在化した新組合設立への動き

現在、市場内で営業している約30の店舗は、1992年(平成4年)に設立された「柳橋連合市場協同組合」に加盟しているが、10月初旬、現組合の方針に反発する一部の店舗運営者が連名で、場内に10数枚の文書を掲示した。

文書は、現組合を脱退して新たに別の組合を設立するという内容。新組合設立を目指す発起人らは、現組合執行部では老朽化した市場の整備なの課題を解決するのが困難であるとした上で、新しい組織で環境整備を行おうと賛同を呼び掛けている。まさに組合分裂の危機だ。

■戦後の復興期経て

柳橋連合市場の歴史は古く、1917年(大正7年)頃、那珂川にかかる柳橋のたもとで鮮魚商が魚を売り始めたのが始まりとされる。

次第に店舗が増え、商店街を形成。戦後、複数の小組合がひとつとなって連合市場となり、互いに助け合いながら発展してきた。1992年に「柳橋連合市場協同組合」として法人化し、現在に至る。

鮮魚のイメージが強いが、精肉、青果、干物や蒲鉾など加工食品、化粧品や製茶店もある。現在、市場内で営業する30数店舗は全店舗が協同組合に加盟。福岡市の一等地にありながら、昔ながらの風情を残す観光名所として訪れる旅行者も多い。

一方で、市場の周囲には高層ビルが立ち並び、場内一部では現在ホテル建設も進んでいる。不動産業者によれば、これまで幾度となく市場一帯の再開発の話が浮上しており、市内中心部では唯一残された開発有力候補地だという。

■背景にあるのはアーケード改修問題

市場の起源から100年、組合設立からだと30年余りが経過する歴史あるこの市場が、令和の時代になって揺らぐ。

10月4日、市場の中央付近に設置された10数枚の文書が張り付けられた看板は、4つの店舗代表者が発起人となり、新しい組合の設立に向けた創立総会の開催を公告したものだ。

新たに設立されるのは、「協同組合柳橋うまかもん市場」。掲示された設立趣意書(下、参照)によれば、発起人4名は設置から約60年経過して老朽化が著しいアーケードの危険度を現組合執行部に幾度も提示したが、何ら対応されなかったとして新組織で行政や関係団体と折衝して環境改善を図ると主張。合わせて現組合員に対し、新組織への加盟を募っている。

歴史ある市場に内紛が起きたのは確かだが、多くの組合員は戸惑うばかり。ある市場関係者は憤りを隠さない。
「(現)組合として、アーケード問題については、すでに結論は出している。なぜ今更こうなるのか理解できない。年末商戦を前に、市場全体を盛り上げていかないといけないのに、恥をさらすだけだ」

対立の発端が、老朽化したアーケードへの対応にあるのは分かった。だが、事態は何故ここまでこじれたのか――。市場関係者への取材を進めてみると、アーケード改修にまつわる様々な事情が浮き彫りとなる。詳しくは次稿で!

(東城洋平)



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