【独自入手】アキタフーズ元代表の「手帳」にあった政治家の名前

年末の25日、東京地検特捜部が手掛ける「鶏卵疑惑」の捜査が大きく動いた。特捜部は、鶏卵生産大手「アキタフーズ」(本社・広島県福山市)の元代表・秋田善祺元代表から現金500万円と引き換えに請託を受けた贈収賄の疑いで、吉川貴盛元農相の事務所などを強制捜査。「Xデー」に向けて、動き出した。

今回の事件のきっかけとなったのは、昨年、公職選挙法違反(買収)容疑で特捜部に逮捕された元法相・河井克行被告と妻で参院議員の案里被告の事件。その際、アキタフーズへの家宅捜索で押収された秋田氏の「手帳」や「裏帳簿」といった「ブツ」が決め手となっている模様だ。

ハンターは、秋田元代表のものとされる「手帳」のコピーを独自に入手したが、10人を超す政治家の名前の中には、やはり“その人”についての記述があった。

■“農水族”宮路議員の政治団体に50万円

昨年12月、秋田氏から総務大臣政務官を務める宮路拓馬衆議院議員(九州比例)の支援団体「新政策研究会」に50万円の献金があったことを報じた(⇒『宮路拓馬総務大臣政務官側に鶏卵マネー50万円』)。新政策研究会の代表は宮路氏の父で元衆院議員の和明氏。和明氏は、鶏卵業界と関係の深い農水省の官僚出身である。

同団体の届出上の主たる事務所は千代田区飯田橋に置かれているが、確認したところ会計責任者は宮路議員の政策秘書で、事務担当者も公設第二秘書。連絡先の電話番号は衆議院議員会館にある宮路議員の部屋の番号が記載されており、同団体が事実上宮路議員のカネ集め装置となっていることが分かっている。

宮路議員自身も“農水族”であることをウリにしている。公式サイトのプロフィールには衆院の所属委員会として「農林水産委員会」が真っ先に挙げられており、自民党では「農林部会畜産・酪農対策委員会 事務局長、農林部会 副部会長」を歴任していた(下の画像参照。赤いアンダーラインはハンター編集部)。

■「高級中華→献金→会社訪問」の流れが判明

問題の「手帳」のコピーだが、精査すると、宮路議員を巡る“鶏卵マネー”への疑念がより増大する。2019年12月2日に次のような記述がある。(*以下、赤字の書き込みはハンター編集部)

『19:00 伊藤・宮路先生会食(北京個室) 帝国泊』――アキタフーズの幹部によれば、「宮路議員と自民党の伊藤忠彦衆院議員(愛知8区)のことを指します。北京は帝国ホテルの中華レストランですね」とのことだった。

あるグルメサイトを見ると、北京の夜の客単価は15,000円からとある。3人で食事したとなれば、5万円は下りそうにない超豪華な晩餐だったとみられる。

次に宮路議員の名前が登場するのは、北京での食事から10日後の同年12月12日。

『13:00 宮路先生来社(東京本社)』――宮路議員は、わざわざアキタフーズの東京本社に出向いていた。

時系列で読み解いてゆくと、宮路議員は臨時国会会期中の12月2日に、秋田氏らと高級中華ディナーで会食。4日に、秋田氏個人から新政策研究会への50万円を受領し、12日にアキタフーズの東京本社に出向いたという形だ。

秋田氏と会食の際に自分を売り込んだのかおねだりしたのかは不明だが、2日後に50万円の献金をもらったのは事実。その後、お礼に行ったという流れが浮かび上がる。

ある自民党の幹部は、こう解説する。
「宮路議員は総務省の官僚だったので、農水と縁がないように思われがちです。しかし、お父さんの和明氏は農水官僚から衆院議員に転身し、当選8回。宮路議員自身も農水委員会所属で、党務でも農林部会。親子揃って農水族なんです」

問題の「手帳」の記述によれば、宮路議員は2019年に前述の2回にプラスして複数回、アキタフーズの東京本社を訪問していた疑いがある。

秋田元代表は吉川元農相に対して、大臣室などで直接、現金を手渡したと報じられている。その額は大臣在任中に500万円。その前後には、別に1,300万円を受け取った疑いもあるという。内閣官房参与を辞任した西川公也元農水相にも現金が渡っていたとされ、その額は1,500万円。農水族の政治家が、そろって鶏卵マネーに汚染されていたことになる。

宮路議員が秋田氏側からもらったのは50万円だけだったのか――。また、なんらかの請託はなかったのか――。大臣政務官という要職にある以上、宮路氏に重い説明責任があるのは言うまでもない。



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