各地の性的少数者が「結婚の自由」を求めて国を訴えた裁判で17日、国内初めての判決言い渡しがあり、札幌地方裁判所の武部知子裁判長は同性婚禁止が憲法の平等原則に違反するとの判断を示した。違憲判決を受け、訴訟当事者らは「一生忘れない」「涙が止まらない」と、史上初の司法判断を高く評価している。
同性同士の結婚など性的少数者の権利を求める裁判は一昨年2月、各地の裁判所に一斉提起された。17日の札幌判決は国内初の言い渡しになるとして、各地の関係者からの注目が集まっていたところだった。
判決で武部裁判長は、同性婚などを認めていない現行制度について、原告が指摘した憲法13条(幸福追求権)と24条(婚姻の自由)の違反は認められないとしつつ、法の下の平等を定めた同14条1項については「違反している」と明言、言い渡しの途中で声を詰まらせ、涙声で制度の不平等を指摘した。一方、法制度の不備について国の立法不作為は認めず、原告の請求は棄却した。法廷では6人の原告が思わず落涙、居並ぶ訴訟代理人らも嗚咽を堪えながら言い渡しに聴き入っていた。
判決後、原告の男性カップルの1人(帯広市)は「私たちが尋問で訴えたことにきちんと耳を傾け、それを踏まえて判決を書いてくれた。一生忘れない」と感慨深げに語り、同じく女性カップルの1人(札幌市)は「素晴らしい判決で、涙が止まらない。国はこれを真摯に受け止め、法整備を検討して欲しい」と訴えた。
同旨の訴訟は現在、東京、大阪、名古屋、福岡の各地裁で弁論が続いており、当事者22人が国との争いを続けている。
(小笠原淳)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 北方ジャーナル→こちらから |