政財界のフィクサーとして知られる矢島義也氏が会長を務めるコンサルタント会社「大樹総研」が、新型コロナウイルスのワクチン供給で注目を集める製薬会社「ファイザー」の求めに応じて、監督官庁である厚生労働省の幹部に接待を行っていた問題が国会で取り上げられた。
今月19日にハンターが報じたこの問題は、ファイザーとコンサル契約を結んでいた大樹総研が、2016年から17年にかけて厚労省幹部を接待したというもの。21日に開かれた衆議院厚生労働委員会で質問に立った立憲民主党の川内博史衆議院議員が、同省幹部が接待を受けた事実の有無について質した。
答弁した厚労省の役人は、「会食の届出はなかった」という表現で接待の有無についての言及を避け、調査する考えもないことを明言。ここ数年、何度も見せられてきた霞が関の“疑惑否定“”と“調査拒否”が繰り返された。
川内議員とのやり取りの中で同省が調査拒否の理由にあげたのは「具体的な事実が書かれている報道でもない」という主張。しかし複数の関係者が、大樹総研が接待の対象としていたのは当時の保険局長と事務次官だったと証言している。
証言者の一人は、その背景についても詳しく覚えていた。2014年4月、ファイザー社の会長兼CEOだったイアン・リード氏が、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の会長に就任。大樹総研は、日本の政界や官界、経済界に人脈を広げる必要があったファイザー側の求めに応じイアン・リード氏と日本側キーマンをつないだりする中で、厚労省幹部への接待が行われたという。調べたところ、米国研究製薬工業協会の日本版ホームページに、証言者の話通りの発表文書が残っていた(*下が発表文書)。