失敗した「永田町交渉人」の仰天交渉

“国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに”――そう謳った「国税査察専門安心」というサイトをネット上に公開している「東京永田町税務事務所」。なにやら怪しい『交渉術。』とやらを駆使するという税理士と『永田町交渉人チーム』は、やはり顧客との間にトラブルを起こし、契約解除となっていた。

「告発も重加算税もゼロ」という謳い文句を信じ同事務所に現金1,500万円を預けた企業経営者A氏にもとに返ってきたのは、約794万円。A氏の会社に届いた「精算書」には、驚きの金額が記載されていた。その直前、初めて顔を合わせた麻生と名乗る「交渉人」は、なかば脅しともとれる発言を繰り返し、A氏に契約継続を持ち掛けた。だが……。

■電話1件50,000円

長期間にわたって国税の査察を受けていたA氏の会社が、東京永田町税務事務所と契約を結んだのが2020年の6月。だが、何カ月経っても事態は好転せず、国税当局が引き下がる気配はなかった。当然ながら、疑念が芽生える。

A氏が怪しいと思うようになったのは、国税側との交渉経過などについて、税理士側からほとんど報告がなかったためだ。A氏のもとには、税理士事務所からの報告書も、口頭での説明もなかったというから当然だろう。同年11月には「契約解除」。「預けたカネを返せ」となる。トラブルとなって登場したのが、問題の「交渉人」。A氏に、脅しともとれる言葉で、契約継続を迫っていた。A氏が、交渉人の申し出を拒否したのは言うまでもない。

精算することになって税理士側が返すと言ってきたのは、預けた1,500万円の半分程度である約794万円だけ。送られてきたのが、下の「精算書」だった。

納税分はやむなしとしても、報酬金「4,870,000円」は、一体何にかかったものなのか?訝るA氏は、「報酬金明細」を見て目が点になったという(下、参照)。

 着手金112万円は、相談した初日に、東京永田町税務事務所の指示に従って支払ったものだ。しかし、国税当局に電話しただけで「50,000円」には、疑念がつきまとう。
「本当に電話したのかどうか、クライアントである私の会社には何の報告もなかったのですから、信用しろという方が無理な話でしょう」(A氏)

A氏が一番驚いたのは、永田町にある東京永田町税務事務所に出向いた度に「50,000円」がカウントされていた点。たしかに、契約時に添付された報酬額等の額(下が契約書に添付された報酬表)には、電話交渉や面談に5万円かかることが明記されてはいたが、電話交渉の報告もなければ、ただ事務所に出向いただけで5万円というのは、どう考えてもおかしい。そもそも、東京永田町税務事務所に出向いたのは、ほとんど税理士から関係資料などを持って来るよう指示された時ばかり。国税当局との交渉経過を説明されたり、対応についての方針を話し合ったというわけではない。「呼びつけておいてカネをとるのか!」――誰もがそう呆れるやり方だと言えるだろう。

この「精算」が行われる直前、A氏は東京永田町税務事務所を訪問し、契約解除を前提に事務所側に疑問点をぶつけた。その際、はじめて公証人と称する麻生なる人物と会い、話を記録していた。以下は、その記録から抜粋した交渉人・麻生氏の発言である。

“公証人の麻生です。私どもが今日Aさんにお会いしに来たのは、最終結論を申し上げるため。直接お会いして、解決するんであれば可能性はある。ただし、すべて、Aさんの腹次第”

“私どもが、6月、7月、8月、9月、10月と5か月間。主に7、8、9、10交渉をしてきた。ご存じの通り、いろんな国会議員の方がいる。財務省でも分野がある。いろんな角度から変化を持って、交渉に入る”

“重要なことは。ただこの案件を終わりにしてくれという話は、子供の使いじゃないから、話にならん”

“国税との手打ちをするために、4か月掛かった。国税局の査察部においても、例がないと言っていた”

“国税の統括が駄目だと言ったら駄目。その上は関係ない。任された人が結審する。それを私どもが落としにかかって、私も行った”

“私どもは押しまくる。統括官だろうと何だろうと。我々は実績があるから頼まれている。実績がなければ頼まれない。実績というのは、今国税で年間160件が告発されて、内偵で動いているのがその倍ある。我々に来るのが、5分の1。我々も全国に行くのは大変だから、一応電話で交渉したり、ズームで交渉したりする”

“我々はきっちり仕事しており、抜かりはない。間違いもない。Aさんの腹次第で、告発を回避することは可能。なぜ可能か――。交渉してきたからだ”

“あなたは危なかった。9月から10月の間”

“国の権力で(脱税を)認定して、検察庁から逮捕。可能性がある”

“交渉させてもらえるんであれば、こちらは継続する、継続して、統括をねじ伏せる、押しまくって、ねじ伏せることは可能”

“こうやって話していて、その夜に、査察がもう一回来て、逮捕されて、告発されて、もう手遅れ。逮捕しに来ました。持っていかれます。もう出てこれない”

“目一杯言ってくる、求刑でもなんでも。罪名はつけ放題です。あいつら(検察)は”

要するに、「契約を継続しないと捕まるよ」という主旨なのだが、記者には、一連の発言がまともな税理士事務所の言うこととは思えない。「国会議員の方がいる」、「子供の使いじゃない」、「告発回避は可能」、「検察庁から逮捕。可能性がある」、「統括をねじ伏せる」、「査察がもう一回来て、逮捕されて、告発されて、もう手遅れ。逮捕しに来ました。持っていかれます。もう出てこれない」、「罪名はつけ放題」――まるでヤクザかテレビドラマに登場する悪徳弁護士の脅し文句だ。A氏が、交渉人・麻生氏の言動を「信用できない」と判断したのは当然の成り行きだった。「交渉人」のA氏との仰天交渉も、失敗だったということになる。

果たして、「告発も重加算税もゼロ」で顧客を誘い、高額な報酬を得る行為は容認されるのか――。ハンターは、「東京永田町税務事務所」の税理士が所属する東京税理士会に取材することになる。

(以下、次稿)

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