【速報】江差看護学院問題で第三者委が初会合へ|パワハラ調査、ようやく端緒

 複数の教員による長期間のパワハラが告発されている北海道立江差高等看護学院の問題で、かねてから設置が求められていた第三者委員会の顔ぶれがあきらかになり、今月27日午後に函館市内で1回めの会合が設けられることになった。問題の発覚から1カ月以上が過ぎ、本格的なハラスメント調査がようやく端緒に就くことになる。

 道医務薬務課が第三者委員の構成をあきらかにしたのは、初会合2日前の25日夕。外部団体の推薦・紹介でメンバーを決めたといい、同課は直接人選にあたっていないとしている。明かされた顔ぶれは、以下の3人。

・山内 良輔 … 弁護士(函館弁護士会)
・藤井 壽夫 … 函館短期大教授(発達心理学)
・平松 聡美 … 苫小牧看護専門学校副学校長

 座長は未定で、27日の顔合わせで決まることになる見込み。道は同日の会合を含めて第三者委の調査をすべて非公開とする方針で、5月中の実施が見込まれていた「現地調査」の日程もあきらかにしていない。初会合が同日午後1時半から同5時ごろまで設けられる可能性があることから、委員の江差入りは早くとも28日以降になるとみられる。

 委員の1人は取材に対し「何もお話しできないことになっている」と口を閉ざすが、別の1人からは「2週間ほど前に打診があった」「調査に必要な情報はまだ何も届いていない」などの声が聴かれる。事務局を務める道が委員らにどこまで情報を提供することになるのかは未知数で、在学生の保護者らでつくる「父母の会」が求める独立性・中立性がどの程度担保されるのか疑問だ。

 江差高看などで教員を務めたことがある看護師の女性(58)は、委員の中に看護関係者が含まれていることに疑問を呈する。
 「委員の人が所属するのは私立の看護学校のようですが、そこは江差高看が加盟する『(一社)日本看護学校協議会』の会員校なので、客観的評価は難しいんじゃないかと思います。一時は江差のパワハラ教員の1人が協議会の副会長を務めたこともあり、忖度関係がまったくないとは言い切れません。そもそも北海道内の看護専門学校は、道から補助金を貰って運営している。それで『第三者』とは、ちょっと無理があるのではないでしょうか」

 道によれば初会合後の調査スケジュールは決まっておらず、調査結果を報告する時期も未定。12日から在学生・退学生に配布を始めた「調査票」の回収状況についても、現時点で「公表できる状況にない」という。

(小笠原淳)

(※ 江差高等看護学院パワハラ問題の続報を、現在発売中の月刊「北方ジャーナル」6月号に掲載しています。)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

*「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイトhttps://esashi-seijo.main.jp/

 

 

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