東京地検特捜部が狙う贈収賄事件の主役は・・・

東京地検特捜部長として、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告や衆院議員・秋元司被告などの「大物」を次々と逮捕してエースと呼ばれた津地検の森本宏検事正が、近く東京地検次席検事に着任する。

特捜部長時代「政官財、どこも1つは事件をやりたい」と述べ、ゴーン被告や秋元被告の事件を立件した森本氏。言葉通り、東京地検復帰早々に狙いを定めたのは“官僚”ということのようだ。

ターゲットはもちろん贈収賄。経済産業省の事務次官を退任したばかりの大物が収賄側で、贈賄側とみられているのが何かと話題のフィクサーだという。

■疑惑の発端は四国・丸亀の太陽光発電計画

事件の舞台は、香川県丸亀市の山間部に位置する「まんのう・丸亀太陽光発電所」という太陽光発電所である。

同発電所は、政権中枢に太いパイプを持つ矢島義也(本名:義成)会長率いる「大樹総研」と関係が深い再生可能エネルギー開発会社「JCサービス」を通じて2017年から計画され、土地所得や経産省へのFIT(固定買取価格制度)の認定、開発申請などが行われていた。

JCサービスが注目されるようになったきっかけは、2017年10月に行われた総選挙の際、細野豪志衆院議員に渡ったとされる5,000万円の裏金疑惑。裏金を提供したとされる「JC証券」の親会社がJCサービスだった。この頃、細野氏への資金提供を斡旋したとみられていた大樹総研を含め、関係先が東京地検特捜部の家宅捜索を受けている。

そのJCサービスが絡んだ丸亀市の開発計画について、いきさつに詳しい関係者はこう話す。
「矢島氏がアドバルーンを上げて、数百億円ともいわれるカネが集められた。しかし、細野氏への裏金疑惑などが発覚し、地元に開発計画などを説明もしていなかったことから頓挫しかけた」

一方、経産省はその前後、福島第一原発事故を経て太陽光発電が注目された2011年に1kWh/時で42円という高値で設定したFITの買い取り価格を見直す方針を打ち出す。認定を受けても太陽光発電システムの建設にとりかからず、権利を売買するという行為が横行したため、見直しに着手していたのだ。

矢島氏らの計画は、そのタイミングに引っかかる。計画を前倒しし、2019年8月に申請をしたという。前出の関係者は、次のように解説する。
「最初はため池の上に太陽光パネルを設置する計画だった。しかし、地元住民への説明もなく、反対運動が起きる。そこで、地元のリゾート開発会社の土地に計画を変更したのだが、最初の申請と場所も発電量もまったく違うものになった。経産省に申請をする際は、農地転用の有無、自家発電設備はどうするのか、売電する電気事業者への電気供給量はどう計測するのかといった書類が必要です。膨大な量になります。FITの買い取り価格が変更になる直前に、申請内容を変更するのはまず無理です。そこで、矢島氏のこれまでの人脈が動いたのです」

ハンターでは、これまで大樹総研と矢島氏の政界と官僚への接待攻勢など、さまざまな疑惑を報じてきた。まさに「動いた」のはそこ。東京地検特捜部は、大樹側とつながっていた元次官が、何らかの便宜を図ったのではないのかと狙いをつけているのだ。

■カウントダウン

昨年、新型コロナウイルスの治療薬開発で注目されたのがジャスダック上場のベンチャー企業「テラ」(本社・東京都新宿区)。新型コロナウイルスの感染拡大まで200円に満たなかった同社の株価が、3~4か月で10倍以上の2,000円を超えるまでに急騰した。だが、インサイダー取引による株価のつり上げを疑われ、証券取引等監視委員会と警視庁が捜査に乗り出した。大樹と元次官の接点について、別のある関係者が語る。
「テラの株価操縦疑惑でマークされているのが、テラと業務提携をしていたセネジェニックス・ジャパン(本社・東京都中央区)を実質的に支配しているT氏。JCサービスの株式を多数保有しているT氏は、以前から矢島会長と近い関係でした。大樹総研がコンサルの一環として、テラの新薬開発話絡みでT氏を厚生労働大臣だった加藤勝信・現官房長官に引き合わせという話もあります。T氏が、元次官の贈収賄疑惑についても当局に語っているとの情報も聞こえてきています」

東京地検特捜部は、JCサービスが細野氏に5,000万円を融資した件を調べる過程で、再生可能エネルギー事業の疑惑を見つけたという。5,000万円の件で関係先に家宅捜索に入ったが、立件には届いていない。その時の特捜部長が森本検事正だ。

菅義偉首相や二階俊博幹事長と大樹総研との密接な関係については、昨日の配信記事『令和のフィクサーが率いる「大樹総研」と権力者たちの蜜月』でも明らか。矢島会長の結婚式には、両氏がそろって出席したことも知られるところだ。大樹周辺への事情聴取については「カウントダウンが始まった」とも言われており、東京地検担当の記者らが周辺を探っている。また、矢島会長のボディガードと揶揄される旧民主党の松野頼久元官房副長官に接触を試みるマスコミ関係者も少なくない。

「元次官は、二階幹事長と親しいことでも知られる。大樹側はそのルートから元次官に接触したと聞いている。森本検事正は特捜部長時代、森友学園、桜を見る会、河井夫妻の公職選挙法違反などで疑惑が噴出した安倍政権や自民党の中枢には切り込めなかった。次席検事となって、今度こそはと意気込むのも当然だ。今回の件は、菅首相、二階幹事長に切り込むには最高のネタだ」(特捜部OBの弁護士)

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」に…
  2. 腐敗した鹿児島県教育界の隠蔽体質が、数々の“いじめ”を放置し、被害を拡大する原因になっていた。 …
  3. 衆議院議員総選挙の投開票まで1週間、九州各地でも激戦が展開されているが、注目されるのは「候補者調整」…
  4. 滋賀県大津市の中学校でいじめを受けていた2年生の男子生徒が自殺してから10年。2013年には、その事…
  5. 衆議院議員選挙期間中の22日、就任まもない岸田文雄総理大臣が北海道を訪れ、道内各地で与党系候補の応援…




最新の記事

  1. 鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」に…
  2. 腐敗した鹿児島県教育界の隠蔽体質が、数々の“いじめ”を放置し、被害を拡大する原因になっていた。 …
  3. 衆議院議員総選挙の投開票まで1週間、九州各地でも激戦が展開されているが、注目されるのは「候補者調整」…

ページ上部へ戻る