一挙公開!“逆ギレ”音声データ6連発|北海道新聞幹部、開き直りの弁明

取材目的で国立大学の敷地内に「侵入」した新人記者が逮捕された事件から、早3カ月。同記者の所属する北海道新聞は今なお、当該記者を2日間拘束した警察に対して抗議の声を上げようとせず、また同事件を唯一実名報道した理由の合理的な説明を果たしていない。9月2日付本サイト既報の通り、同社は同1日から2日間にわたってオンライン形式の「全社説明会」を開いたが、そこでも編集局幹部が現場記者らの質問に真摯に答えようとせず、時に声を荒らげて反論するなど見苦しいさまを見せていた。

筆者はこのほど、同説明会開催両日の音声データを入手、道新記者からの本質的な質問を浴び続けて苛立ちを募らせる幹部の声を耳にすることが叶った。本稿では初日の音声の一部を公開し、同社幹部の認識の甘さと責任感のなさを読者と共有することとしたい。

◇  ◇  ◇

1日の説明会ではまず、編集局幹部が「全社の皆さんにお詫びする」と謝罪の意思を表明、約30分間にわたって事件の経緯や社の対応などを説明した。複数の役職者をまじえたその説明はしかし、お世辞にも充分なものとは言い難く、続く質疑応答では現場の記者から鋭い問いが放たれ続けることになる。

【音声1】は、公共空間といえる国立大敷地内での記者逮捕を「不当」と批判する地方支社の記者が「侵入行為は不祥事だったのか、あるいは逮捕こそが不当だったのか」と迫った際の、幹部の回答。不祥事かどうかの明言は避けつつ、幹部は「取材中だからといって侵入行為は免責されない」という意味の発言に及び、警察の捜査を事実上正当化している認識を垣間見せた。

【音声1】

*再生ボタンで音声が流れます。音量にご注意ください。

説明会前半から早くも声の調子に苛立ちが見えてきた幹部は、社員への説明が遅きに失したとの指摘に最初の「逆ギレ」を演じることになる。説明を受けるべき側が「説明がなかった」と疑問を呈しているにもかかわらず、憤然と「説明している」と言い返す幹部。挙げ句に「わざわざこの場を設けてやったのに」と言わんばかりの抗弁。【音声2】を耳にした道新読者はどう思うだろうか。

【音声2】

 

続く【音声3】は、過去の事件の匿名報道について弁明したもの。今回の侵入事件が起きた道新旭川支社では昨年1月、報道部デスクが酒気帯び運転で送検される不祥事があった。取材中に逮捕された今回の件よりも悪質なケースと言ってよく、また紙面で「 STOP飲酒運転」キャンペーンを展開していたさなかの出来事で、社会的影響は小さくなかった筈だが、道新は当時デスクの名を伏せて事件を報道。新人記者の実名を晒した判断とは対照的なこの姿勢に、現場から疑問の声が上がったのは当然のことと言ってよい。だが、この疑問に返された答えを要約すると「デスクは逮捕されず書類送検だったから匿名にした」。幹部はここでも警察に追随してしまったわけだ。

【音声3】

 

そして、【音声4】。新人記者が実名報道で社会的制裁を受け、事件への責任を一人で負わされたのに対し、会社の上層部は誰も責任をとっていないではないか――。この声を受けた幹部は開口一番「責任をとらないとはひとことも言っていない」と、ほとんど屁理屈のように言い返す。さらに【音声5】。その姿勢に納得できない質問者が「新人記者はすでに責任をとらされている、会社はそれでいいのか」と詰め寄ると、幹部はなんと「どう責任をとったらよいかわからない」と開き直るのだった。

【音声4】

 

【音声5】

 

2時間あまりにわたった説明会で、現場の疑問に答える幹部の弁明は、およそ質問者が期待する回答とは程遠いものとなった。本来は社員の不信・不安を払拭すべき場で、事実上「ただ言い返すだけ」の対応。道新はこの2週間ほどのちの紙面で見開き2面にわたって「新聞評者懇談会」での議論を採録し、記者逮捕事件について編集局幹部が説明にあたったことを伝えた。そこでは幹部が同懇談会を“第三者委員会”に位置づけるかのような発言をし、評者からその認識のおかしさを指摘されている。これを受けた幹部は、認識を改めるどころか「常設で第三者的に意見を聞くのはまさにこの場」と、それこそ「ただ言い返して」いるのだ(直後、改めて「第三者調査が必要」と指摘を受けることになる)。

結びに、全社説明会初日の白眉といえるやり取りを採録しておきたい。【音声6】は、幹部「逆ギレ」の真骨頂が余すことなく発揮されたやり取り。逮捕された新人記者が警察にスマートフォンの中身や取材ノートなどを調べられたことを深刻視する社員が「逮捕されたらおしまい」「逮捕行為を甘く見ているのでは」と指摘すると、幹部は質問を遮って「甘く見てません!」と激昂、もはや苛立ちを隠そうともせず「ただ言い返し」続けるのだ。

【音声6】

 

質問を聴き終えてから答えるという当然のルールもかなぐり捨て、さらに問いを重ねられると「お答えしません」と突き放す――。あえて質問者の声もカットせずに収録し、読者の評価を請うことしたい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
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