【安倍政権の失敗】新型コロナ「4日ルール」とPCR検査

女優の岡江久美子さんが、新型コロナウイルスに感染し亡くなった。志村けんさんのケースも同じだったが、体調不良となり自宅で療養している間に症状が悪化したのだという。

岡江さんは乳がん、志村さんには肺炎の病歴があったことを重症化の原因とみる報道もあるが、早期にPCR検査を行っていれば、違った結果になっていた可能性もある。改めて、新型コロナの相談の目安とされてきた「4日ルール」とPCR検査について考えてみた。

■「4日ルール」

新型コロナが蔓延する過程で繰り返し広報されてきたのが、「体調が悪くなって4日」という医療機関への相談を行う時点のタイミングだ。厚生労働省がホームページにある新型コロナに関する「Q&A」には、こう記されている。

Q:風邪のような症状があり、心配です。どうしたらいいですか?
A:発熱などの風邪の症状があるときは、学校や会社を休むなど、外出を控えてください。毎日体温を測定して記録しましょう。
Q:感染したかも?と思ったらどうしたらいいですか?
A:以下の場合には、最寄りの保健所等にある「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談しましょう。
1 風邪の症状や37.5度以上の熱が4日以上続く
2 強いだるさや息苦しさがある重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある方に加えて、念のため妊婦さんは、こうした状態が2日程度続いたら相談しましょう。症状がこの基準に満たない場合には、かかりつけ医や近隣の医療機関にご相談ください。
Q:最寄りの保健所等(「帰国者・接触者相談センター」)に相談するとどうなりますか?
A:電話での相談を踏まえて、感染の疑いがある場合には、必要に応じて、新型コロナウイルス感染症患者の診察ができる「帰国者・接触者外来」を確実に受診できるよう調整します。

役所や大手メディアの言うことを信じ込んだ人が、失わなくてもいい命を、この「4日ルール」を守ったばかりになくしたケースは少なくあるまい。

岡江さんの場合は、発熱後に受信した医療機関の医師から「4~5日様子をみるよう」指示され、自宅で療養していた間に症状が悪化したことが報じられている。問題の「4日ルール」が治療の機会を奪った形だ。

■「4日ルール」を決めたのは厚労省と専門家会議

そもそも「4日ルール」は、誰がいつ言い出したことなのか――。改めて調べてみると、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」(以下、専門家会議)の議論にたどり着く。2月16日に首相官邸で開かれた第一回専門家会議の議事概要には、次のような記述がある。

<受診・相談の目安>
〇一般の人にメッセージを出すときは、その人たちが受診する医療機関の医師へのメッセージとセットで出すべき。
重症で原因が不明のときにPCRを回すのが妥当ではないか
〇キャパシティーの観点から、検査は何を目的とするのかを明確にすべき。
相談を勧奨する対象をそのまま検査対象としない方がよいポイントは入院や医療が必要な方であり、発熱または呼吸困難という基準は適切だと思う。高齢者の場合はあもう少し緩い基準の方がよいかもしれない。
〇症状は素人から見るとインフルエンザと変わらない。普通の人はどちらか判断つかないのでは。
普通の風邪だと症状のピークは3~4日だが、新型コロナウイルス感染症では7~10日でも治らない。“普通の風邪”とずれていると気づけるような内容があるといい
〇ドクターショッピングは止めるべきというメッセージを伝えるべき。
〇子供の陽性例は少なく、軽症が多い。
〇妊婦についてはデータがないので、引き続き注意すべきという状況。
〇風邪の症状があれば自宅で安静にして、症状が長引けば相談センターに連絡してもらうという流れが望ましい。
発熱は 現行の基準どおり、37.5度以上で良い

この日の専門家会議で配布されたのが、厚生労働省健康局結核感染症課が作成した『議論の方向性等 令和2年2月16日』で、その中には次の記載がある(*赤い囲みとアンダーラインはハンター編集部)。

つまり4日ルールの根拠は、“風邪だと3~4日で治るが新型コロナは7~10日でも治らない”という状況に求めたもの。“3~4日様子を見てから判断”が「4日間様子を見る」になった訳だが、医学的な裏付けがあったわけではなさそうだ。同様に、「発熱37.5度以上」の根拠も、残された資料などからは断定できなかった。

しかし、この議論を受けた厚生労働省は、翌17日に記者発表した『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月17日版)』の中に、『国民の皆様へのメッセージ』(下の画像参照)を記載、4日ルールを相談目安にする方針を明らかにしていた。根拠に乏しいおかしなルールは、この時点で定まったということになる。結果、『風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いている人』以外が、PCR検査の対象から除外されることになった。「4日ルール」が、患者の重篤化の大きな要因であることは疑う余地がない。

■言い訳する専門家会議

岡江さんを襲った突然の死は大きな波紋を呼び、「4日ルール」に疑念の目が向けられるきっかけになった。とたんに専門家会議は責任回避に動く。22日の会見で、同会議委員の釜萢敏氏(日本医師会常任理事)は、次のように話している。

「2月の時に目安が出まして、受診の目安に対しては、特に今いつもと体調が違うということに対して、4日間様子をみてくださいというメッセージに取られたんですが、そうではなくてですね、体調が少し悪いからと言って、みなさんすぐ医療機関を受診されるわけではないので、少しいつもと違う症状が続いた場合には少なくとも4日も続くというのであれば、普段はあまり受診をされなくても今回に関してはぜひ相談をしていただきたい。まず電話で相談をして、その相談の結果、受診が必要になれば医療機関を受診していただきたい。そういうことでありました」

これは、いわゆる「4日ルール」を根底から否定する主張だが、ならば「何故いままで訂正しなかったのか」という新たな疑問が生じる。専門家会議がどれだけ理屈を並べても、姑息な言い訳に過ぎないということだ。

■PCR検査体制の不備が「4日ルール」につながった

最大の問題は、理不尽な4日ルールに背景に、PCR検査の体制不備があることだろう。日本のPCR検査件数が増えないことについては、国内だけでなく海外からも批判が出ている。体制が整っていれば、感染者の数が何十倍かに跳ね上がっているはずとの意見も根強くあるほどだ。しかし、検査体制強化について安倍首相が意気込むのは会見の時だけで、実際にはPCR検査を希望する人が、なかなか受けられない状況が続いている。

2月29日の会見で、安倍晋三首相はPCR検査について、次のように発言していた。

2か月経ったが、この時の安倍さんの約束は、守られていない。守られていれば、PCR検査の実施件数は大幅に増え、「4日ルール」は撤廃されているはずだ。実際には、「ウイルスを検出するための作業を15分程度に短縮できる新しい簡易検査機器」は「3月中の利用開始」に至っていないし、「身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保」することは全くできていない。「検査がしたくても保健所で断られ、やってもらえないという御指摘」は増える一方で、「必要な検査が各地域で確実に実施できるよう」にはなっていない。

現在、PCR検査を希望しても受けられない人ばかりで、体調不良を保健所などに訴えても自宅療養を指示され、症状が悪化してから入院・陽性確認というケースがほとんどだ。亡くなった岡江久美子さんは、その典型例だった。

肝心なことには力を入れず、ほとんど役に立たない布製マスクの配布に500億円近い公費を投入した安倍首相――。無能なトップが国を亡ぼすということは、歴史が証明している。



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