戦前の軍部と共通する高市早苗の「天皇の選挙利用」

絶対に容認してはいけない「天皇の選挙利用」である。

自民党の高市早苗政務調査会長が、10月31日に投開票された総選挙で応援演説を行った際、認証官である大臣や副大臣を落選させたら「天皇陛下にご迷惑をかける」「悲惨な事態が発生する」などと発言し、同党候補への投票を強要していたことが分かった。

同様の発言が、副大臣を務めている自民党候補が接戦を展開していた複数の選挙区で確認されており、確信犯的な選挙運動だったことは明らか。「天皇は絶対」として国民に多大な犠牲を強いた戦前の軍部とまったく同じ思想の持ち主が、議会制民主主義や象徴天皇制を真っ向から否定した形だ。

■京都、愛知、福岡で天皇の選挙利用

ネット上などで高市発言が問題視されるきっかけとなったのは、選挙戦終盤の10月29日に、同氏が京都市内で行った応援演説。4区に立候補した田中英之文部科学副大臣への支援を呼びかけた演説の中で高市氏は、次のように発言していた。

「田中候補でございますけれど、皆さまご承知の通り、現職の文部科学副大臣でございます。現職の文部科学副大臣ということになりますと、天皇陛下の認証を受けて就任する認証官です。政務官とはまた違って、大臣と副大臣は天皇陛下の認証を受けます。そういうことになりますと、万が一にも、この京都4区・田中英之が当選しないということになると、大変お忙しい天皇陛下にもう一度別の方を認証して頂かなくてはならない悲惨な事態が発生します
・・・・・・(中略)・・・・・・
天皇陛下にもご迷惑がかかります。なんとか、勝たしてやって下さい

 同様の「天皇の選挙利用」発言は、池田佳隆文部科学副大臣が立候補していた愛知3区における27日の街頭演説でも確認されている。

 選挙戦最終日の30日には、全国一の激戦区といわれた福岡2区の鬼木誠防衛副大臣を応援するため福岡入りし、同候補のマイク納めが行われた中央区天神の繁華街で、選挙カーの上から次のように発言していた。 

「皆さまにしっかりと認識していただきたいのは、鬼木さんは現職の防衛副大臣です、ということです。防衛副大臣というのは大臣政務官と違って、天皇陛下から認証を受けます認証官でございます。大臣がもしも防衛省を離れることがあったら、彼は選挙中でも駆けつけています。ひじょうに、このあいだから厳しい安全保障関係の中で、自分の選挙をやりながら、そして国を守るために、彼は一生懸命働いています。こういう認証官を、万が一にもこの福岡2区で落とすようなことがあったら、私はもう2度と福岡には来ない。お忙しい天皇陛下にもう1回他の方を認証していただかないといけないことになります。それでは困ります

 「国を守る認証官を落としていけない」という主旨での天皇陛下利用は、まさに戦前の軍部の主張そのもの。“ウルトラライト”と評される高市氏の、これが本性なのだろう。

本来、筋の通った「保守」や「右派」と呼ばれる論客は、天皇をはじめとする皇室を、政治や自己利益のために利用するようなマネは絶対にしないもの。この程度の人が自民党総裁選でもてはやされ、政権政党の政策責任者に就いているというのだから呆れるしかない。

高市氏は議員を辞職し、議会制民主主義や天皇制について、一から勉強し直すべきだ。

(中願寺純隆)

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