特捜部が狙う令和のフィクサー大樹総研・矢島氏とその先

先週25日、ハンターでさまざまな疑惑があることを報じてきた民間コンサル「大樹総研」(東京都中央区)の代表で政財界のフィクサーと呼ばれる矢島義也(本名:義成)氏に、捜査のメスが入ったことを報じた(【速報】大樹総研に家宅捜索 関係者逮捕へ)。

先月4日には、警視庁がジャスダック上場企業「テラ」(東京都新宿区)の株式売買でインサイダー取引があったとして男3人を金融商品取引法違反の疑いで逮捕したことを報じていたが(⇒「新型コロナ絡みのインサイダー取引事件で見え隠れする“あの人たち”」)、その中で指摘した事件と矢島氏との関係性が証明された格好だ。今後の展開を探るため、関係者への取材を試みた。

◇  ◇  ◇

大樹総研本社や矢島氏の自宅に家宅捜索が入った25日、矢島氏と昵懇とされる医療支援コンサル「CENEGENICS JAPAN(セネジェニックス・ジャパン)株式会社」の実質的支配者・竹森郁容疑者(これまでの配信記事では「T氏」)が、警視庁に逮捕された。

すでに逮捕された3人と同様に、テラの株価を不当につりあげたとされる金融商品取引法違反容疑。それに関連して、大樹総研と矢島氏に捜索の手がのびたということになる。

家宅捜索当日、東京・銀座の大樹総研の本社があるビル前には、警視庁担当記者と検察担当記者が入り混じって駆けつけた。竹森容疑者は警視庁が逮捕しているので、検察は関係がないものと思われていたが、大樹総研と矢島氏の自宅を洗った主な捜索は、東京地検特捜部が手掛けたとみられている。大樹総研のある幹部が家宅捜索の様子を明かした。
「大樹総研や東京の矢島氏の自宅には、東京地検特捜部の担当者が家宅捜索にきました」

事件を巡る一連の経緯については、セネジェニックス・ジャパンの関係者が次のように話す。
「テラを巡る事件で3人の関係者がインサイダー取引で逮捕された時、取り調べの大半を行ったのは東京地検特捜部だった。そこへ呼ばれた竹森は、3人のインサイダー取引を吹聴して物証も提供し、自身の関与は否定した。検察の協力者としてふるまったというわけだ。『検察が事件をやれるのは俺のおかげ』と自慢をしていた。しかし、その竹森があっけなく逮捕された。他人に罪に押し付け、自分だけは助かろうとしていた竹森がいかに愚か者か、よくわかった」

竹森容疑者は、自分が助かりたいがために、他の容疑者が不利になるような情報を検察に売り込んでいたというのだ。事実だとすれば、その過程で、矢島氏に絡む疑惑や情報を検察側に伝えていた可能性がある。

政治家や大物官僚が関与する事件は、検察の独自捜査で攻略するのが不文律で、そのことは河井克行元法相の公職選挙法違反事件や吉川貴盛元農相の贈収賄事件を見てもわかる。ところが今回は、当初警視庁が手掛けたインサイダー事件に、東京地検特捜部が加わる形での合同捜査だ。東京地検特捜部が加わったことで、“本丸”が矢島氏とそれを結ぶ政治家もしくは大物官僚のルートと見立てることも可能だ。

矢島氏が特に親しかったのは菅義偉前首相と二階俊博元幹事長。さらには加藤勝信元官房長官、福田達夫総務会長、遠藤利明選対委員長、木原誠二官房副長官、山口壮環境相、細野豪志元環境相、野田佳彦元首相、玄葉光一郎元外相、公明党の高木陽介元経産副大臣など、与野党を問わずに幅広い人脈を有する。日本政策金融公庫が実行した融資約37億円あまりを仲介した見返りに金銭を受け取り、貸金業法違反で起訴された公明党の元衆議院議員遠山清彦被告も矢島氏と昵懇だったという。

 本サイトで2021年7月6日に配信した《令和のフィクサーが率いる「大樹総研」と権力者たちの蜜月》で報じたように、菅元首相は官房長官時代に大樹総研取材の会合で講演を行い、千葉県山武郡に同社が整備した和風迎賓館「大樹庵」には、二階氏が側近とともに、訪れていた。菅・二階両氏は、矢島氏とどっぷりの関係だ。

では東京地検特捜部は、どこを狙っているのか――?旧知の自民党幹部が、背景をこう推測する。
「検察は政治的なことを重視する組織だ。大樹総研に東京地検特捜部がガサをかけたということは、官邸がゴーサインを出したということ。菅さんや二階さんをつぶそうという意図があるのではないか。官邸サイドは、非主流派が菅さんを軸に新しいかたまりを作ろうとしてことを快く思っていないはず。東京地検特捜部の狙いは、大樹総研の矢島氏を突破口にして菅さんや二階さん、あるいは大物官僚に迫ることではないのか」

たしかに、永田町や霞が関では、すでに大物官僚の名前がささやかれている。

 

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