崩れた鹿児島県医師会の主張|塩村あやか参院議員の国会質疑詳細

 今月8日、参議院予算委員会で、立憲民主党の塩村あやか参院議員が鹿児島県医師会(池田琢哉会長)の男性職員(昨年10月に退職。以下「男性職員」)を巡る強制性交疑惑について質問。国側は、女性の人権を無視して一方的に「合意があった」と結論付けた県医師会や、女性の告訴状提出を拒んだとされる鹿児島県警の姿勢を否定する答弁を行った。

 ハンターでは9日に質疑の概要を伝えたが(既報)、鹿児島県医師会の関係者や一般の読者から詳しいやり取りの内容が知りたいという要望が何件も寄せられたため、改めて本件に関する予算委質疑のすべてを正確に紹介する。

◇   ◇   ◇

塩村議員:NHK、読売新聞、南日本新聞の記事でございます。コロナの宿泊療養施設での不適切行為についての記事なんですね。鹿児島県医師会の職員が、宿泊療養施設のホテルで、看護師と何度も性行為を行っていたという記事なんです。しかも、看護師の同意はなくてですね、性的暴行だとして刑事告訴されてるんです。
 厚労省は全国の宿泊療養施設で発生したトラブルなど把握しているか、そして、こうした実態をどのように受け止めるかお伺いをいたします。

加藤厚生労働大臣:鹿児島県が設置し、県医師会に業務委託を行っていた宿泊療養施設において、一昨年、委員ご指摘の事案が発生し、昨年になって、県医師会において、該当職員への処分が行われ、鹿児島県から県医師会に対し、文書による厳重注意等が行われたものと承知しております。
 宿泊療養施設の運営は、一義的には、今回であれば鹿児島県、あるいは都道府県にて、適切に管理、監督していただくものであります。他方、新型コロナがまん延し、医療資源がひっ迫しているということを背景に、新型コロナ患者の療養のために設けられている宿泊療養施設内において、ご指摘のような事案があったこと、これは大変遺憾なことでございます。こうしたことがないように、今後とも対応していきたいと考えております。

塩村議員:ありがとうございます。私この事案なんですが、直接被害者である看護師や代理人弁護士、そして勤務をする医療施設の代表、そしてそれを応援する皆さんからお話を聞かせていただいています。当然、当該看護師は非常に精神的にダメージを負っているような状況なんですね。
 その被害看護師によれば、加害者は彼女に対して、執拗に、自身に「好き」というメッセージを送るようにと、こういう指示をしたりとか。そして、自分の父親は県警の元警察官だと、これは本当なんですよ、本当なんです。と言ってですね、彼女が周囲に被害(助け?)を求められなくするような言動をしていたりと、これ巧妙かつ本当に悪質な事案であるという印象を私は受けています。
 この報道を受けてですね、鹿児島県が医師会に行った対応をご存じでしょうか。情報公開によりまして、口頭注意、そして報告書提出後の指摘事項の存在が明らかになっています。これ、資料5,6、7ということで、内部文書が情報開示で出てきたので付させていただいております。これどのように事態を受け止めて、対応したのか教えてください。

佐原厚生労働省健康局長:お答えいたします。鹿児島県からは、県医師会長に対して文書を手交し、厳重注意を行うとともに再発防止策の徹底を求め、また県医師会の組織のガバナンスの改善についても口頭注意を行ったほか、報告書提出後の県医師会の対応について指摘を行ったと聞いております。
 この中で、委員ご指摘の口頭注意としましては、県の医師会の対応につきまして、『事案発生後の報告時に謝罪がない等、事態の重大さを真摯に受け止めた上で、適切な対応をとるといった姿勢が感じられなかった』、『関係者からの聞き取りをする前から、事案に係る発言があるなど予断を持って調査が進められた』、『当該発言をした理事を調査委員会の委員としたまま調査を終えており、調査の進め方に問題があった』といった内容があったと承知しております。
 また報告書提出後の医師会の対応についての指摘につきましては、『医師会が行った記者会見の内容と報告書の内容には齟齬があった』、『医師会が処分を決定するにあたり、情状酌量の判断として、当該職員が一定の社会的な制裁を受けたとしているが何を持ってそのように言えるのか疑問である』といった内容があったものと承知をしております。

塩村議員:ありがとうございます。その通りなんですね。ご説明頂いたんですが、資料6の口頭注意、2の部分ご覧ください。医師会は、被害者から聞き取りをする前から、医師会の理事が不適切な行為が「複数回あった」とかね、「強制であったかどうか」みたいな形で県に説明をしてですね、予断を持って調査が進められておりまして、医師会が被害を矮小化している現実が公文書に記されているような状態なんです。そこでちょっと私お伺いしてみたいのですが、複数回あるから強制ではないみたいな形で事態がどんどん進んでいて、当該看護師さんが非常にダメージを負っていくということになっているんです。
 そこでお伺いします。複数回の性交があれば強制性交にはならなくなってしまうんでしょうか。併せて今回職務上の圧倒的な上下関係があるわけです。医師会から派遣された職員、そして派遣されて来ている看護師、圧倒的な力関係がある。そして、体格差がかなりあるんですね。私、見させていただいているんですが、そうしたときに、強い抵抗をしたときには、何かしらすごいダメージとかマイナスが起こってしまうんですね。強い抵抗をした場合に、命に関わる場合もやっぱりこれまではあるわけなんです。ですので、抵抗するにもやっぱり限界があるんじゃないかと私は思うんですが、複数回あれば強制性交にはならなくなるのか、そして抵抗した場合のこと、2点お伺いしたいと思います。お答えください。

齋藤法務大臣:犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき、個別に判断されるべき事柄でありまして、法務大臣として、所見を述べるのは差し控えなくてはならないですが、あくまでも一般論として申し上げれば、委員ご指摘の強制性交等罪に関し、13歳未満の者に対する場合を除き、被害者の真意に基づく承諾があれば犯罪は成立しないと解されているわけですが、そして、その被害者の真意に基づく承諾があったと認められるか否かは、捜査機関により収集された証拠に基づいて認定された具体的な事情を総合して判断をされていくということになるものであります。

塩村議員:はい、ありがとうございます。だから、つまり複数回の性交があったとしても強制性交にあたる可能性は十分あるということになってくるというふうに思うんです。この認識でよろしいでしょうか。改めて確認させてください。

保坂法務省大臣官房審議官:先程大臣からご答弁させていただきましたように、その真意に基づく承諾があったかどうかにつきましては、個別の事実関係に基づきまして、その事実を総合して判断するということでございますので、この事実があったからどうだということで決まるわけでなくて、あくまで総合的な判断という趣旨でございます。

塩村議員:性暴力の観点から、小倉大臣にもお伺いいたします。

小倉内閣府特命担当大臣:男女共同参画担当大臣としてお答えをいたします。内閣府の調査におきまして、無理矢理に性交等をされたことのあった人のうち相手との関係性から拒否できなかったとの回答は約2割となっており、本人の意思に反していても相手との関係等において性行為を拒むことが難しくなる場合もあると認識しております。私も個別の事案にお答えすることは差し控えますが、一般的に複数回の性交為があったとしても、相手が望まない性的な行為については性暴力にあたると考えております。引き続き望まない性的な行為は性暴力にあたることについて、私どもとして広報啓発に取り組んでまいりたいと思っております。

塩村参議院議員:ありがとうございます。その通りだというふうに思うんですね。ですから、複数回の性交があったとか、好きだというメールが送られているからといってですね、それが全て同意が取れているということにはなってこないというふうに思うんです。ことさら複数回が強調されていることも非常に問題だとは思うんですが。ここでちょっとお伺いしたいんですが、警察庁この事件把握していらっしゃいますでしょうか。

警察庁渡辺刑事局長:お答えします。お尋ねの事件につきましては、鹿児島県警察とにおきまして告訴を受理して、捜査中の事件であると報告を受けております。

塩村参議院議員:はい、ありがとうございます。当初、被害看護師が弁護士が書いた告訴状を持って告訴をしようと警察署に行ったところ、対応した女性警察官はむしろ被害女性を責めて、告訴を思いとどまらせるような言動を4時間繰り返しまして、受理しなかったということなんです。この警察署は加害側の医師会職員の父親が勤務していた警察署なんですね。何度も女性警察官は部屋を出て、上司の判断を仰いでいたというふうに聞いております。極めつけは、帰り際に、被害女性に対して「告訴しませんよね」ということで、念押しをしたということなんです。
 私、この女性警察官を責めるところまでは難しいと思っているんですね。いろんな上下関係がその中にあると思っているので。しかしながら、被害女性に対してはとんでもないことが行われたというふうに私は思っているんです。被害者から告訴があった場合、警察はどのように対応することになっているのかお伺いをいたします。

警察庁渡辺刑事局長:お答えします。都道府県警察におきまして、性犯罪にかかる告訴がございましたら、要件が整っていればこれを受理し、速やかに捜査を遂げて、検察庁に送付することとしております。

塩村参議院議員:仰る通りなんです。そのようにしなきゃいけないのに、今お答えいただいた対応とは乖離したことが行われているんです。このことについて警察の受け止めをお伺いしたいと思います。

警察庁渡辺刑事局長:お答えします。鹿児島県警察におきまして、捜査中の個別事件に関することでありますので、捜査員と被害者とのやり取りなど具体的な内容にわたることにつきましてはお答えを差し控えたいのですが、一般論として申しあげますと、性犯罪に関する被害の届け出がなされれば、都道府県警察においては被害者の立場に立ってこれに対応するべきであり、その際には例えば、警察が被害届の受理を渋っているのではないかというようなことを受け取られることのないように被害者に対する説明にあたってはその心情に配意するよう指導してきているところでございまして、今後とも徹底してまいりたいと考えております。

塩村参議院議員:その言葉通りのことを行っていただきたかったと思いますので、本当に徹底をしていただきたいなと思います。外形的にはですね、言葉を悪く言うとですよ、親が警察官だと加えた性暴力もなかったこととか、軽くなるというような状況になっているわけです。性暴力とか、ジェンダーの問題というのは、いつも問題の矮小化がついてまわってですね、被害者の落ち度を探して、それも躍起になって探して、バッシングが激しくなって、そして噂で加害者側(「被害者側」の間違い?)を傷つける。そして、それを応援する人、支援する人に対してもバッシングが向っていくということが付き物なんです。ですから、そういったことに惑わされることなく、警察庁は身内に甘いと思われるような対応ではなく、被害者に寄り添った対応をしっかりしていただきたいと思います。
最後に、再発防止に向けて、厚労大臣、そして刑事局長の決意をお伺いします。

加藤厚生労働大臣:今後、新型コロナの感染法上の位置づけの変更に伴い、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる医療提供体制に向けて段階的な移行を進めていくわけでありますが、引き続き、宿泊療養施設の運営において、こうしたことがないよう各都道府県においてしっかりと管理・監督が行っていただけるよう、我々としても取り組んでいきたいと考えております。

警察庁渡辺刑事局長:再発防止ということで、お尋ねございましたけれども、捜査中の個別事件からは離れて申し上げさせていただきますけれども、性犯罪につきましては、被害者に対しまして、心身に極めて重い被害を与える重大な犯罪であると認識しております。
都道府県警察において性犯罪の被害者から届出を受けた場合には、やはり被害者の立場に立って適切に対応することが重要でありますし、その上で、刑罰法令で触れる行為が認められるのであれば、個々の具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき公平中正な姿勢を堅持して捜査を遂行することとしております。今後とも被害者に心情に配意した性犯罪捜査が徹底されますよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

塩村参議院議員:しっかりと再発防止を行っていただきたいと思います。期待をしておりますので重ねてお願いを申し上げます。

◇   ◇   ◇

 国会質疑の内容を知った鹿児島県医師会所属のある医師からは、匿名を条件に次のようなメールが送られてきていた。

《県医師会は、性被害を訴えた女性が合意した上での性行為だったと結論付け、記者会見まで開いてそう発表しました。私は池田先生(琢哉・県医師会長)を信頼申し上げてきましたし、その池田先生に加え、県弁護士会の会長まで務めた先生(新倉哲朗弁護士)までが「合意があった」と断言したのだから、間違いないことだと思っていました。
 ところが、ネットの動画で参議院予算委員会での質疑を確認したところ、女性が県警に男性職員を告訴して受理され、捜査が続いていることを警察庁刑事局長が認めていました。つまり、合意があったか否かについて、司法は判断していないということです。なぜ県医師会は「合意があった」と断言できたのか、その点については強い疑念を抱かざるを得ません。なにより、世界が女性の人権を守ろうという方向に動いている中、捜査機関でもない私たち医師会が、大した証拠もなく性被害をめぐる刑事事件に判決を下し、女性を貶めるようなマネをしていることは、決して許されることではないと考えます。本当に医師会が下した結論が正しかったのどうか、再検証する必要があると思います。
 正直、私はハンターの過激ともいえる記事は嫌いですが(ごめんなさい)、少なくとも報道内容に嘘はないということが分かりました。大変残念なことですが、今後の展開次第で、責任問題になると思います》

 

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