迷走する公明党

連立政権の一角を担いながら、次期総選挙を巡り自民党とのチグハグなやりとりが続く公明党。「10増10減」を軸にした改正公職選挙法で区割りが変更されるのに伴い新設される「東京28区」の候補者調整で自民党と対立していた同党は、主張が通らなかったことで激怒。東京での自民党との協力関係を解消すると発表し、都議会での共闘も打ち切った。
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「10増10減で小選挙区があまりにヤバイ状況なので、なりふりかまってられませんよ」と話すのは大阪の公明党の地方議員。これまで、国政では自民党と連立を組んできた公明党だが、大阪ではなぜか日本維新の会と共闘するという奇怪な状況が続いてきた。維新の目玉政策「大阪都構想」を実現するためには、公明党の協力が不可欠だったからだ。

公明党は、大阪で4、兵庫で2の合計6選挙区の議席がある。永田町の「自公政権」ではなく、関西では「公維共闘」。維新は公明党の協力と引き換えに、6選挙区の候補者を擁立してこなかった。しかし、統一地方選で維新は大阪府議会に続き、大阪市議会でも過半数をとったため、公明党の協力が必要なくなり、馬場伸幸代表は「公明党との関係はリセットします」と宣言した。

「今の維新の勢いなら、大阪・兵庫の6選挙区で公明党が勝てる見込みはない。誰の目にも明らかです」(前出・公明党の地方議員)。あわてた公明党は、山口那津男代表が5月30日に岸田文雄首相と会談。連立政権維持を確認し、最小限の亀裂におさまるようにとの話し合いになった。

5月31日、公明党は頼みの綱「公維共闘」が消える可能性大とあって、早々に大阪3区、5区、6区、16区、兵庫2区、8区の候補者を発表。大阪16区は北側一雄元国交相が高齢のため、山本香苗参議院議員に差し替えられた。それ以外は現職という顔ぶれだ。

「北側氏は公明党の内規で定年という形で身を引いてもらうことになっている。維新に負けそうだからや辞めたでは格好がつかないし、比例候補にもならずに政界引退だろう。大阪3区の佐藤茂樹衆議院議員も62歳とあって辞めるにはいい年齢だが、次の候補がおらずにそのまま。なんとか、維新とネゴして1つでも2つでも、選挙協力でこちらにもらないかとの声が党内にはある。特に、馬場代表とは都構想の関係で大阪府連幹事長の土岐恭生大阪市議が親しい関係。話し合いに期待が持てる。また維新との共闘を進める時に力になったのが元参議院議員の白浜一良氏で、現在は府連の顧問。松井一郎元代表とパイプがあるのでこちらにも動いてもらおうという声がある」(同党関係者の話)

しかし、維新のある衆議院議員は公明を突き放す。「うちは、すでに大阪府と大阪市で過半数。公明党に協力してもらう必要はない。ガチンコで戦おうという意見が大勢で、『立候補したい』と手を上げている人も少なくない」

維新の兵庫県連会長、片山大介氏は「維新独自の候補を立てて衆院選を戦うべきと要望していく」とこちらも主戦論。公明党の支持母体である創価学会も、「候補者を発表した以上、維新とは真っ向勝負」という意向だ。

「表向きは信者の皆様のために維新と戦うというしかない。しかし、幹部ばかりでしゃべる時は『維新には勝てません、1つでも2つでも譲ってくれないか』と弱気な話ばかりです。これは大阪や兵庫だけではなく、東京などの選挙区でも同じ。結局、自民党や維新が助けてくれないとうちだけで選挙区はとれない。ただ関西はずっとうちが6つの選挙区を確保してきた実績、伝統があるので手放したくない。どうすれば維新は折れてくれるのか……。頭を下げるしかない」(創価学会関係者)

公明党の中では、維新に「大阪都構想」を再度促すことや、別の協力できるものがないのか、模索しているという。「東京での自公の関係は地に堕ちた」と話した公明党の石井啓一幹事長。東京は自民党から推薦を得ることなく、独自で戦うことになる。

そうした中、ウルトラCを口にするのが、先の公明党の地方議員だ。
「維新は全国政党にのしあがるには、東京で議席がもっとほしいはず。自民党との協力を東京限定でやめるなら、公明党と維新でやればいい。すでに大阪は『公維共闘』をやって実績があるのでそれを東京でやる。その代わり大阪、兵庫そして東京の選挙区については、維新に協力をしてもらえば現状維持、もしくはプラスになる。それくらい思い切った策が必要」

だが、維新の藤田文武幹事長は5月31日に出演したインターネット番組で「関西ですべて立てるか検討中」と公明党に配慮しつつも「選挙協力は大義名分がなければ、有権者に示しがつきません」と発言しており、原則すべての選挙区に擁立する意向に変更はなさそうだ。どうする公明・創価学会。

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