【自民党総裁選】小林鷹之氏「新たな自民党」の足を引っ張る応援団の顔ぶれ

9月27日に投開票が行われる自民党の総裁選。トップバッターで出馬を表明したのは当選4回、49歳という小林鷹之前経済安保相だった。若さに注目が集まり、会見には、150人ほどの報道関係者が詰めかけた。清新さが売りのはずの小林氏だが、同席した24人の国会議員は、グレーというしかない顔ぶれ。期待感に水を差す格好となっている。

■応援団主力は旧安部派

メンバーは、一覧表のとおりだ。小林支援の中心となったのは福田達夫元総務会長と大野敬太郎衆議院議員。旧二階派に所属していた小林氏だが、支援する24人中、旧安倍派が福田氏を筆頭に11人を占めた。旧二階派で同席したのはわずか4人。麻生派、旧岸田派、旧森山派の議員も名を連ねたが、旧安部派の人数が突出している。

出席していたある議員に話を聞くと「福田氏が小林氏擁立に熱心だったので安倍派が多くなった。裏金事件の影響で、安倍派からは出せない。若手の時代を象徴し、世代交代をするには小林氏が最も適任だ」と自信ありげに語る。

小林氏は1時間にわたる記者会見で「当選4回、40代、 普通のサラリーマン家庭で育った私が、派閥に関係なく、この場に立っている。自民党が本気で変わろうとする象徴」、「全ての党員、 国民の皆様にお約束します。新たな自民党に生まれ変わる」と自らの若さ、新鮮さを強調した。

だが、上掲の一覧表を見ればわかるように、福田氏をはじめ安倍派の裏金議員は6人も並ぶ。宗清皇一衆議院議員は1,408万円、和田義明衆議院議員は990万円もの裏金をため込んでいた。

別の議員によれば「安倍派では他にも小林さんを応援するという議員がいます。しかし、たいてい裏金事件でキズがついているので、ある程度安倍派からは人数を絞り込み、派閥横断的な態勢でやっている」と話す。しかし、6人も裏金議員が並び、うち何人かは推薦人にもなる見込みといい、まったく裏金事件の反省がないのは明らか。グレー議員らの支援を受ける小林氏本人も、記者会見でさっそく馬脚を現した。

「(裏金事件の)再調査という話もありますが、本件については、実態が正直よく分からない」

「(捜査は)権限を持っている検察当局が調べ、今回は不起訴という処分になっている。検察のような権限を持たない自由民主党が調査をするのは限界がある」

「(安倍派の裏金議員の処分で)要職など外れた方もいますが、国民の皆様の一定の理解が、得られたら、適材適所の人事を行うべき」

実態がわからないと小林氏は言うが、すでに安倍派の会計責任者、松本淳一郎被告の刑事事件の裁判は開かれている。松本被告は容疑を認め、禁固3年が求刑されており、不十分ながら概要は解明されている。

派として、一度はキックバックをやめると決定していたが、「安倍派のある幹部が再開を求めた」と法廷で松本被告は述べており、この点は未解明のまま。自民党として裁判が確定した時点で、松本被告に真相を聞けば済む話なのだ。

また、小林氏は裏金議員を党幹部などに起用すべきとも語っており、これは最大の支援を受けている旧安倍派や裏金議員への「忖度」としか思えない。

■問題議員がゾロゾロ

旧統一教会と関係があった議員が13人もいることも見逃せない。ハンターでは、久留米家庭教会で開催された「南福岡教区孝情奉献礼式」の動画を独自に入手、自民党と旧統一教会の深い関係を報じた。2021年10月の衆議院選挙では、岩田和親衆議院議員を応援していたということで、幹部が「佐賀1区、鳥栖の方々が関わっていたが、原口一博さんの立憲が勝ってしまった。133 票差だった。非常に僅差でありました。鳥栖のメンバーに、岩田さんを応援という流れを作れなかったんですね。そこが私の責任。鳥栖のメンバー130人くらいは獲得できた」などと発言。岩田氏と旧統一教会の関係を物語るエピソードだった(既報)。

中曽根康隆衆議院議員は、昨年11月に大炎上した自民党和歌山県連のセクシーダンスショーに参加していたことで、青年局長代理を辞任。鈴木英敬衆議院議員は、かつて暴力団関連企業から寄附を受け取っていたことで、大きな問題になった。

スキャンダルのデパートともいわれるのが鬼木誠衆議院議員。旧統一教会のパーティに参加料まで支払って出席。今年7月には、地元福岡2区内で開催されたイベントで、防衛副大臣という立場を利用して、防衛省・自衛隊から提供された南極の氷を配っていたことが「赤旗」の報道で明らかになっている。公職選挙法が、選挙区内で金銭や物品などを配布、寄付することを禁じているのは言うまでもない。

また、2021年の衆議院選挙では、人気アニメ「鬼滅の刃」のデザインと酷似した選挙ポスターを作成。著作権者からの許可を得ておらず、鬼木氏はポスターの撤去を余儀なくされた。

小泉進次郎元環境相の出馬が決定的な状況で「若さ」や「世代交代」に注目が集まる総裁選。だが、小林氏の支援者には、裏金問題や旧統一教会絡みのスキャンダルを抱えた議員がズラリと並ぶ。ある国会議員にその点を指摘すると、キズ者の集まり? 確かに裏金や旧統一教会などと関係がある議員は多いのは事実だ」と苦虫を噛み潰したような表情になった。

小林氏は自民党を変える前に支援する議員のメンツを変えるべきではないのか?

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1.  兵庫と鹿児島で、悪行を指摘された組織のトップが真相をねじ曲げ、告発者を悪者に仕立てて自らの潔白を主…
  2. 9日、兵庫県政を揺るがしている県政トップのパワハラやおねだり問題で、日本維新の会と同党県議団は、渦中…
  3. 8月の最高裁判所決定により一審原告らの「一部勝訴」が確定した「首相演説ヤジ排除事件」国家賠償請求裁判…
  4. 9月6日、小泉進次郎元環境相が自民党総裁選に立候補することを表明した。小林鷹之前経済安全保障担当相、…
  5. 長崎県の大石賢吾知事に公職選挙法(買収)や政治資金規正法に関する「疑惑」が浮上、県議会の4つの会派が…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る