【2025参院選】牙城の大阪でも苦しむ日本維新の会

7月20日投開票の参議院選挙がはじまった。自民・公明の連立与党が崖っぷちに立たされ、国民民主党の支持も低下。間隙を縫うように新興勢力・参政党の勢いが増すという展開を見せている。そうした中、日本維新の会が浮上のきっかけをつかめぬまま、選挙戦に臨む形となっている。

◆   ◆   ◆

「前回2022年の参議院選挙では、うちの伸びが際立った。それが今回は参政党に取って代わられた。国民民主党にも一定の人気がある。うちだけがすっかりかすんでしまった。」と話すのは、ある維新の大阪市議。ある党の情勢調査によれば、比例では自民党が14~16議席(前回18)、公明党4議席(前回6)に対し、立憲民主は前回の7議席を上回る勢いで、国民民主も5議席(前回3)以上を狙う状況。共産党が横ばいで踏みとどまり、社民党も1議席が見込まれる。躍進しそうなのが参政党で3~4議席、れいわ新選組も2~3議席獲得が見えてきている。野党で唯一、落ち込みが激しいと予想されるのが日本維新の会で前回の8議席から3~4議席にとどまりそうだという。

大阪選挙区は定数4で、東京に次ぐ議席数だ。維新の金城湯池だが、前出の維新市議は悲痛な表情でこう語る。

「ここ最近の参議院選挙では、大阪選挙区でずっと2議席をとってきた。しかし、万博の不評、兵庫県の斎藤元彦知事への対応もあって完全に逆風。今回、大阪選挙区で1議席目はいけそうだが2議席目がかなり難しい。前回は、兵庫、東京選挙区でも議席をとったが、今回はだめだろう。最悪、選挙区は大阪の1議席だけになりそうだ」

維新の凋落ぶりは、本サイトでも報じてきた通り(⇒既報)。情勢調査の数字を見てもわかるように、政権与党である自民党と公明党も大阪では苦戦している。その自民党は、当初、現職・太田房江氏の公認を決めていた。しかし「政治とカネ」の問題を受けて太田氏は出馬辞退(既報)。その真相はハンターでもリポートしている(既報2)。公募を経て公認となったのは柳本顕前衆議院議員。大阪市議の経験もある柳本氏は、過去2度「維新ストップ」を旗頭に大阪市長選に出馬したが、2度とも敗れている。

2021年に衆議院初当選を果たしたのは、比例順位を厚遇されてのもので「当選」が保証されていた。自民党のある大阪市議が心配顔でこう語る。

「大阪選挙区は大混戦。選挙に弱い柳本さんで大丈夫か、という意見が多々あった。しかし、他の有力候補といえば維新を離党して自民党の公募に応じてきた梅村みずほ参議院議員くらいしかいなかった。時間がなく党本部主導で決まったのが柳本さんだった。正直、大丈夫なのかと危惧している」

自民党同様に、現職の杉久武氏を擁立した公明党も「安泰」とはいえない情勢だ。公明党は、東京都議選で大田区に2人を擁立してともに落選。新宿区でも、議席を落とした。大阪の創価学会幹部は不安を隠せない。

「大田区は池田大作名誉会長の生誕の地です。新宿区は創価学会の本部、信濃町があります。創価学会に深い関係のある地で負けているのです。“常勝関西”という言葉がありますが、大阪は池田名誉会長が中心となり、はじめて政界進出した『聖地』と言われるところ。中でも大阪市西成区のある衆院大阪3区は特別なところでした。しかし、そこも昨年の衆院選では維新にボロ負け。池田名誉会長亡きあと、ゆかりあるところでの負けが目立つ状況です。やはり、学会員の高齢化が、党勢停滞の一因だと思われます。与党が逆風の中、いま一つ頼りない杉氏で議席を守れるのか……」(大阪の学会幹部)

大阪選挙区で現職を有する維新、自民、公明が危機感に包まれる中、国民民主党と参政党が勢いを増しつつある。

国民民主党は「山尾ショック」であっという間に下降気流となったが、大阪では新人で女性医師の渡辺莉央氏を擁立。陣営幹部は「山尾ショックは確かに大阪でも影響がある。しかし、東京ほどではない。街頭演説でも、告知がなくとも若い層を中心に100人、200人と集まってくる。維新の2議席目を蹴落とせば、当選圏内に食い込める」と話す。

参政党は、昨年の衆議院選挙で大阪1区から出馬した宮出千慧氏を擁立した。同党の神谷宗幣代表は大阪府吹田市の元市議でもあり、大阪とは縁が深い。

「衆議院選挙でも、ほとんど準備がないまま名乗りをあげて2万5千票を獲得した。選挙にも慣れてきたことと、神谷代表のいわばおひざ元ということもあり、根強いファンがいる。今、最も流れに乗っている国政政党は参政党。東京選挙区でも、議席が有力視されており、大阪でもとりたい」と大阪府内の参政党支部長は、期待を込める。

神谷氏自身、6月末に吹田市で街頭演説し「梅村さんが加わり国会議員5人の要件をクリアして国勢政党になった。都議選でも3議席をとってテレビ、新聞などメディアで露出が増えたことが認知度につながっている。議席は比例で5、選挙区で1はとりたい。6議席が最低ラインだ」と自信を見せていた。

長く維新の「牙城」だった大阪だが、地殻変動が見られるようになった。正念場を迎えつつある維新の代表でもある大阪府の吉村洋文知事だが、露出はすっかり減ってしまった。テレビ局の幹部も「コロナの時と違って、吉村知事では数字がとれなくなった」と冷たい反応をみせる。

「都議選で議席ゼロ、参議院選挙では大阪で1議席しかとれず、比例が3議席以下なら確実に吉村知事の責任問題になる」(前出の維新市議)。

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