鹿児島県指宿市の公立小学校に勤務する20代の女性教師が、同僚で30代の教務主任だった男性教師(当時・今月に入り懲戒処分を受けて依願退職)に呼び出されて暴行を受けた事件を巡り、学校長が、教育委員会に提出した「事故報告書」に自分で想像した状況を書き込んでいたことが分かった。残された録音データから判明したもので、明らかな虚偽報告。加害者の処分を軽くする目的で事件を矮小化しようとした疑いがあり、事情を知った関係者の間から「信じられない。教育者のやることではない」「鹿児島県の教育界は、被害者を痛めつける異常な連中の集まりなのか」などと怒りの声が上がっている。
■事実ではなく「感じた」ことを書いた校長
「事故報告書」は、学校内で体罰やいじめ、教員同士のトラブルなどが起きた場合、現場を預かる校長が作成して教育委員会に提出する文書。9月23日に起きた今回の女性教師暴行事件では、5日後の28日に市教委に対し事故報告書が提出されていた。
ハンターが独自に入手した録音データの内容は、今月8日頃に被害女性の母親と学校長が電話で行ったやり取りを記録したもの。関係者が情報公開請求で入手した「事故報告書」の記述について、母親が校長に確認を求めた際のやり取りだった。
下は、ハンターが入手した報告書の写しだが、問題になったのは赤い書き込みとアンダーラインで示した箇所。《仕事上のアドバイスをしたい》として引き留めた加害者に対し、女性教師は《仕事上のアドバイスなら聞きたい》と思ったことになっている。《*参照記事⇒【指宿女性教師暴行事件】犯罪行為を矮小化した「事故報告書」(上)》
被害者の母親は、該当の箇所の記述について「誰も言っていない。でっち上げではないのか」として校長を追及。終始しどろもどろの校長は、『感じたことを書いた』、『そう捉えた』、『そういうふうに感じた』、『ニュアンスで(書いた)』などと、加害者や被害者から聞いた話ではなく、自分の創造した状況を書き加えたことを認めていた。
まさに母親が指摘した通りの“でっち上げ”。明らかな虚偽報告であり、犯罪行為を隠蔽するための布石だったと見られてもおかしくない行為だ。教育委員会は、この事故報告を受けて被害者と加害者に事情聴取を行ったとしているが、事件の第一報にあたる「事故報告書」が関係者に予断を与えることは確かで、虚偽報告の言い訳は一切通用しない。
歪む教育現場の実態を知った指宿市在住の子育て世代の女性は、「信じられない。教育者のやることではない。学校に通わせるのが怖くなる」と絶句。指宿市で会社を経営する男性も、「鹿児島県の教育界は、被害者を痛めつける異常な連中の集まりなのか。被害にあった女性のことは二の次で、加害者を助けようという意図がミエミエ。いったい裏に何があるのか、徹底的にあぶりだしてもらいたい」と話している。
次の配信記事で、傷ついた娘のため必死で戦う母親と、嘘の報告書を作成した学校長の、やり取りのすべてを公開する。