何件もの悪質な“いじめ”を「解消した」として処理し、「いじめ防止対策推進法」が規定する「重大事態」を隠ぺいしていた鹿児島市教育委員会が、これまでに発覚した事例とは別のいじめを、重大事態として扱う方針であることが分かった。
重大事態として認められれば3件目、重大事態とすべきかどうかを調査するとしている事例が1件あり、ハンターの報道をきっかけに、計4件の「重大事態」が明るみに出ることになる。
【いじめの重大事態】
1 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
2 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
新たな「いじめの重大事態」の対象となるのは、鹿児島市内の中学校で起きている、現在進行中の事例。17日、子供が受けているいじめについて訴えていた保護者に市教委から、「学校から重大事態の連絡があった。法とガイドラインにのっとり対応していく」との連絡があったという。保護者は当該事案について、学校や市教委がどのような対応をしてきたのか確認するため、個人情報開示請求を行っていた。
少なくとも過去6年間、1件もなかったはずの「重大事態」が、伊敷中のいじめ隠ぺいを報じたハンターの配信記事(参照記事⇒“鹿児島市立伊敷中の「いじめ」重大事案、学校と市教委が共謀し隠蔽”をきっかけに次々と表面化。市教委は、伊敷中の事例を改めて調査することにし、別の中学校1件、小学校1件の事例について重大事態だったことを認め、下鶴隆央鹿児島市長に報告している。
新たに調査対象となる中学校のいじめと伊敷中の件を加え計4件が「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」で検証されることになるが、ハンターは別の中学校で起きた“いじめと教員によるハラスメント”事案について取材を終えており、被害を受けた生徒の保護者は、すでに関連文書の個人情報開示請求に踏み切っている。その5例目については、近く詳細を報じる予定だ。