田川市・疑惑のプロポーザル(3)|2年間隠された「業務提案書」が示す疑惑

今年4月の市長選挙で落選した二場公人氏が市長を務めていた3月までの期間、田川市は疑惑まみれとなった「一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託業者選定プロポーザル」に関する文書の公開を頑なに拒否し、最後まで隠蔽姿勢を崩そうとしなかった。

ハンターの記者が、本件について1回目の情報公開請求を行ったのは2021年6月14日。大任町のごみ処理施設整備事業についても同時に開示請求していたが、翌日には田川市を選挙区に抱える武田良太衆院議員の秘書から「なかったことに」と、請求取り下げへの圧力がかかる(既報)。

その後は、“何か不都合な事実がある”と記者が睨んだ通りの展開。他の自治体なら当たり前に開示されるプロポーザルの過程を示す文書が、次々に「黒塗り非開示」となる。プロポーザル審査で審査員が点数を書き込んだ「個票」や「評価表」に審査委員名簿、さらには契約した業者の社名や契約業者が提出した業務提案書など隠す必要のないの内容まで非開示にするという異常な対応だった。

二場市政が隠蔽に走った理由は一つしかない。「A」「B」「C」三つの工区の委託業者を決めるプロポーザルで業者が提出した「業務提案書」、審査の「評価表」、審査委員が評価点を記入した「個票」、「審査委員名簿」などが揃えば、審査過程の不正が強く疑われることになるからだ。二場市政としては、絶対に世に出せない文書ばかりだったと言えるだろう。疑惑解明のため設置された田川市議会の百条員会でも、二場執行部は、評価表や個票、審査委員のメンバーが分かる文書の開示に応じなかった。

ところが、4月の市長選で3期目を目指した二場氏が大差で落選。状況が一変する。

まず明るみに出たのは、所管課である環境対策課(今年4月から「環境政策課」)の池口芳幸課長が、B工区の業務を受注した「早雲商事」のゴルフコンぺに「幹事」として参加していたという事実(既報参照)。

次いで、選定1位の早雲商事から譲られる形でA工区を受注することになった「クリーン北部九州」の『本社』の実態が掴めない状態であることも判明し、同社がプロポーザルの1年2カ月前に田川市内に本社を移したことが、「田川市内に本社または支店を有すること」とされていたプロポーザルの参加条件をクリアするための“偽装”ではなかったのか、という疑惑が浮上する状況となっている(既報参照)。

こうした中、ハンターは評価表の点数を業務提案書の内容に反映させた形での検証を続けていた。

■虚偽申請を疑わせる「業務提案書」の記述

点数評価を加味して業務提案書を検証する前に、提案書の記述に関する別の問題を一つ示しておきたい。業務提案書の内容と業務実態が違っていれば、「虚偽申請」が疑われるのは当然だ。その意味で、分かりやすい例があった。下は、A、B両工区で選定1位(のちにA工区を辞退)となった早雲商事が、業務提案書に示した人員配置に関する記述である。

すったもんだの末、プロポーザル実施から2年も経ってようやく開示された早雲商事の業務提案書には、A・B両工区で運転手3名、作業員3名の12名、予備運転手1名を加えた計13名を最低人員にすると明記されていた。しかし、2021年のプロポーザル実施直後に早雲商事はA工区を辞退、クリーン北部九州に同工区の業務を譲る。早雲商事は、なぜA工区を辞退したのか――?一昨年9月、その点についてハンターの記者が電話取材した際、同社の役員はこう答えていた。

もともと、(受注するのは)どれか一つの工区だけでよいと思っていた。C(工区)は不燃物の方だったので、最初から(プロポーザルに)入っていない。もし二つとっても(受注しても)、それはもうできない。人数も新たに集めないといけないし、一工区最低6人で、二工区なら12人。無理。だからひとつの工区でということ。

この時は明らかになっていなかった「提案書」の記載内容と大きく食い違う早雲商事の「真意」。できないことを承知で「できる」と偽った、いわゆる「虚偽申告」の疑いがある。

こうした問題が明らかになったのは、百条委員会で疑惑を追及していた改革派の市議らが早雲商事とクリーン北部九州の業務提案書を開示させたからだ。さらに、村上市政になってプロポーザル審査の評価表などが開示されたことで、さらに詳しい検証が可能となった。その結果、特定の業者が有利になるよう評価内容や評価点が決められた上、審査の際にも無理に評価点を上げ“下駄を履かせた”疑いがあることが分かってきた。

(つづく)

 

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