死んだ二元代表制|福岡県大任町の狂った町政

昨年から町長の違法行為や歪んだ町政の実態について報じてきた福岡県大任町(永原譲二町長)の議会が、二元代表制の一方としての役割を放棄し、町長に関する質問を封じるなど暴走を続けている。

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3月のはじめ、町内の全戸に、広報「おおとう」に添付される形で「おおとう議会だより」が配布された。その最初のページに掲載されていたのが、下の松下太議長の「説明文」である。4つある囲みの内容はいずれも噴飯もの。6年以上実現していない「一般質問」に関する、幼稚な言い訳のオンパレードだった。

 大任町の議会は、昨年12月の定例会で次谷隆澄副議長が行おうとした一般質問を認めなかった。議会だよりの中で松下太議長は、「執行部が圧力をかけて、一般質問をさせないようにしたということもありません」と述べているが、“一般質問を行ったら、今後執行部は議会側に協力しない”という町長サイドからの圧力があったことは、昨年12月の配信記事「無法地帯「大任町」の町議会副議長が勇気ある告発」で報じたとおり。この点については、複数の関係者の証言や記録があり、どうあがいても事実を歪めることはできない。

議長は、常任委員会で質疑・討論するから一般質問は必要ないと主張しているが、「一般質問」は傍聴席のある本会議場で、議員が町政全般に関する事項について町長や執行部の考え方を確認するためにある制度。狭い一室で、所管事項に限った内容しか審議できない委員会とは、まったく違う。そもそも、「一般質問」という制度があるのにこれを否定するのは、議会の責任放棄に他ならない。“聞かれたくない話”を隠蔽しようとする、歪んだ町政の象徴でもある。

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次に、救いようのないレベルの低さをさらけ出したのが、「令和3年12月定例会での一般質問について」と題する次の一文だ。

《もう一点の12月定例会に出されたとされる一般質問は個人(公人含む)に対するプライベートな質問であったため提出を受けた丹村前議長はその一般質問の取扱いについて議会運営委員会の意見も徴したうえで最終的に受け付けられないことと判断しました。

なお、一般質問とは行財政全般に対し議員が質問するものであり、議長が許可すれば自由に行うことができますが、個人(公人含む)に対するプライベートな質問は行えないと法律(㊟2)でも明確に定められており12月定例会に出されたとされる質問はそれに該当するものでありましたので、規定に基づき受け付けることができなかったものであります。》

「12月定例会に出されたとされる一般質問」とは、次谷隆澄副議長が出した「質問通告」に記載がある“新型コロナ感染”“賭博行為”“コロナ禍での宴会”“市民団体への妨害行為”の4点。すべて当時の議長によって却下されていた。(*下が質問通告書)

 この4項目は、ハンターが報じてきた永原譲二町長の実際にやった行為。町長は昨年正月、大分県日田市天ヶ瀬にある息子名義の別荘で、町内の親交者らと賭けマージャンに興じ、そろって新型コロナウイルスに感染していたことが、複数の関係者の証言で明らかになっている。2月末までの約2か月間、役場内にも来ていなかったとされ、町政への影響が懸念される状況だったとされる。

「コロナ禍での宴会」とは、昨年「永原大任町長に買収の疑い|当選御礼で宴会、ピンクコンパニオンと乱痴気騒ぎ」で報じた町長選挙の事後買収が疑われる宴会のこと。新型コロナのクラスターが発生してもおかしくない愚行であり、コロナ感染で懲りたはずの別荘での賭けマージャン同様、町政への影響も考えられる事案だったことは明らかで、「プライベートな質問」などでは決してなかった。

「市民団体への妨害行為」は、「【速報】永原譲二大任町長が特殊警棒所持して町民襲撃|町政批判に逆ギレ」で報じた永原氏の暴力行為を指しており、町長が特殊警棒を振るって町民を襲った事件について質問させようとしない議会は、税金の無駄遣いというしかない。

そもそも、首長や議員の違法行為について質問ができない議会など、日本のどこを探してもない。

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議会だよりの「一般質問について」(下、参照)も酷い内容だ。

《過去6年間にわたり一般質問が行われていないといった報道についてですが、一般質問とは議会定例会において議場で、事前に通告を行った議員が執行部に対し、施策や事務事業等について回数や時間の制約のあるなかで質問を行うものであり、各常任委員会(総務常任委員会・地域振興常任委員会)の場では執行部から提案された議案が振り分けられたうえで付託された案件のみを審議することとなり、この常任委員会には付託された議案の担当課職員などの出席にとどまり、町長が出席しない自治体もあります。

以上が一般的な地方議会の現状でありますが、大任町議会では各常任委員会の場に町長をはじめ行政職員(各常任委員会に付託された議案の担当課以外の職員を含む係長以上)の出席を促し大任町議会ならではの方法により議案に関することはもとより各常任委員会の垣根を超えた行財政全般について、町長や担当課長に直接、質問したり提案したり、活発な議論を行っており、それらの内容はこの「議会だより」を通じ、町長の皆さまにこれまで報告してきたところであります。

以上のことから、一部の報道等にありました「閉ざされた議会」や「議論なき議会」といったことは事実ではありません。》

ブラックジョークそのものだ。他の自治体では当たり前に行われている本会議場での一般質問を封じておいて、常任委員会で議論しているから「閉ざされた議会」や「議論なき議会」という批判はあたらないという言い訳。牽強付会とは、こういうことをいう。

その“閉ざされていない”という大任町役場の玄関に貼り出されているのが下の掲示である。一般町民はもとより、報道関係者にまで庁舎内や議場での撮影や録音を禁止する同町執行部や議会は、「恥」という言葉を知っているのだろうか。
 ちなみに、下が今月開かれた大任町議会で次谷副議長が提出した質問通告。①④⑤⑥が認められなかったのは言うまでもない。やっぱり「閉ざされた議会」なのである。

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