不正な公共工事(既報)や、町長交際費の不透明な支出実態(既報)などが次々と明るみに出ている福岡県大任町の永原譲二町長が、地元テレビ局RKB毎日放送の持ち株会社「株式会社RKB毎日ホールディングス」(福岡証券取引所上場)の株を大量に買い付けたと公言していることが分かった。
永原町長は、自身が特殊警棒を振り回して町民を威嚇した際の映像を使ったRKBのニュース番組に再三抗議していたとされ、株主になることで局側に圧力をかける狙いがあったとみられる。
◇ ◇ ◇
複数の関係者によれば永原氏は今年4月、大任町内の知人らに対し、「RKB毎日放送の株を7,000万円分買った」などと自慢げに話し、自身に関する報道内容を否定した上で厳しく批判したという。
町長がこだわっているのは、自身が特殊警棒を振るって町政批判の印刷物を配布していた若者を襲った問題などについて報じたRKBのニュースの内容。関係者が撮影した事件現場の動画の中で、永原氏が「殺すぞ」と叫んだとされる場面についてのクレームだという。(*下は、読者提供動画)
永原氏や大任町役場の総務課が強く主張していたのは、「(町長は)殺すぞと言っていない」――つまりRKBの報道内容が間違いだということ。永原氏は「BPO(放送倫理・番組向上機構)に訴える」と息巻いていたらしいが、この問題で問われているのは一部の発言についての「言った」・「言わない」ではなく、永原氏が特殊警棒を引き伸ばして町民を威嚇したことの是非。問題をすり替えてRKBを黙らせようとしたのかもしれないが、同局の報道姿勢をみる限り、何の効果もなかったようだ。
その後、永原町長は複数の関係者に「7,000万円分のRKB株(福証上場)を買った」と豪語。実際にRKBの本社を訪れ、“株主”であることを示して同局の報道姿勢などについて話したという情報もある。この点についてRKB毎日側に事実確認を行ったが、株主情報も含め「何も答えられない」という回答だった。
別の報道機関の関係者は、次のように指摘する。
「実際にRKBの株を買ったのかどうか確認することはできないが、町長本人が公言しているのだから、嘘ではないのだろう。その上でRKBに出向き、株主であることを前提に報道内容についてあれこれ指図したのであれば、まるで総会屋の手口。報道への圧力ともとれ、とんでもない話だ。町長自身についての報道の内容に言及していたとすれば、違法性が問われてもおかしくない。報道機関としての矜持があるはずで、RKBは逆にやる気が出たのではないか。そういう意味では逆効果だった」
永原町長自身が特殊警棒を振るって町政批判の印刷物を配布していた若者を襲った件では、福岡県警が永原氏を暴力行為等処罰法違反の疑いで福岡地検に書類送検している。